Googleとの提携、「AWSの代替が必要」
Salesforceは、2月末にGoogle Cloudとの提携を発表した。これについてSchmaier氏は、「大きな提携」と説明する。
Salesforceは、設立時から自社データセンターを持っていた。2020年に正式発表した「Hyperforce」で、そのモデルから脱却。「データセンターがわれわれのコアの能力だとは感じていない」とその理由を説明する。HyperforceではAmazon Web Services(AWS)と提携したが、既に約60%の顧客がAWS上のHyperforceを使っているという。
その後Salesforceは、中国市場向けにAlibaba Cloudと提携、今回のGoogle Cloudとの提携はそれに続くものとなる。「一部の顧客に対しAWSの代替となるクラウドが必要だった」とSchmaier氏。また、Googleは同じベイエリア(米サンフランシスコ地域)にあり、マーケティングで「Google Adwords」、Data Cloudで「BigQuery」など統合も進めており、協業がしやすいという。
SaaSからサービスソフトウェアへ
SalesforceにとってAgentforceは、ビジネスモデルの変化も意味する。Schmaier氏は、「Agentforceにより、人間と一緒に働くデジタルの労働力を無限に生むことができる。これはSaaSではなくサービスソフトウェアだ」とし、サービスソフトウェアにより、「CRM(顧客関係管理)の市場規模は1000億ドル程度だが、サービスソフトウェアの市場は、はるかに大きい」と述べる。
Agentforceは、消費をベースとした従量課金で提供されるが、Schmaier氏は「初めてベンダーと顧客が真のWin-Winになる」と話す。AIエージェントを構築して生産性が高まる。「使えば使うほど、節約できるコストが増える。デメリットはない」(同氏)
Oracle、Siebelなどでキャリアを積んだというSchmaier氏は、最後に「30年以上CRMに関わってきた立場から、Salesofrceの未来をこれまでにないくらい楽観している。われわれはSaaSという分野をゼロから確立し、現在400億ドルを売り上げる会社に成長した。CRMにとどまるだけでも素晴らしい事業チャンスがあるが、AIにより誰かがデータを入力すると全員が共有できるという業務アプリケーションの夢が実現する」と述べた。

AIエージェント一色の「Trailblazer DX 2025」会場
(取材協力:セールスフォース・ジャパン)