生成AIモデルの「Gemini」によって、人工知能(AI)分野のダークホースだったGoogleは、一気にフロントランナーに転じた。この勢いを維持しようと、Googleは、AIアシスタントの全体的なユーザー体験を強化する、Geminiのアップデートを矢継ぎ早に発表している。この中には、無料ユーザー向けの機能強化も含まれている。
その一環としてGoogleは米国時間3月13日、「Deep Research」と「Gems」という、とりわけ人気がある2つの機能について、すべてのユーザーに提供を開始すると発表した。これらの機能を使うことで、ユーザーはGeminiから、これまでとは一段違うレベルの支援を得られるようになり、エージェント機能さえも無料で使えるようになる。
Deep Research
Deep Researchは、ユーザーに代わって徹底的な調査を行ってくれるエージェント機能だ。この機能では、Geminiはマルチステップのカスタム調査プランを作成し、数分間にわたって依頼を受けたユーザーの代わりにウェブを広範にブラウズして情報を収集する。そして、調べた内容を網羅したレポートを作成する。
他の方法では何時間もかかりかねない徹底的な調査を数分で完了してくれるので、Deep Researchは強力な調査ツールとなる。しかも、すでに強力な体験をさらに強化するため、Googleは「Gemini 2.0 Flash Thinking(experimental)」でDeep Researchをアップグレードした。これによりさらに質の高い複数ページのレポートを作成してくれるはずだ。
このアップグレードに伴い、Deep Researchはウェブブラウジング中の思考の経過も表示するようになる。しかも、これだけのアップグレードにもかかわらず、新しいプロンプトバーかモデル選択リストからDeep Researchを選択するだけで、今後は誰もが無料で試せるようになると、Googleはブログ投稿で説明している。1月のリリース当初、Deep Researchは「Google One AIプレミアム」プランの一部である「Gemini Advanced」のユーザーのみが対象で、月額20ドル(2900円)の利用料が必要だった。
Gems
GeminiのGems機能は、任意のトピックについて個々のユーザーに合わせた独自のAIエキスパートを作成できる。しかも、自分の具体的なニーズに合わせたAIチャットボットをカスタマイズするだけなので、コーディングや機械学習のトレーニングに関する広範なスキルは必要ない。
こちらの機能も、リリース時にはGoogle One AIプレミアムプランの登録有料ユーザーしか利用できなかったが、今後はGeminiアプリの全ユーザーに無料で提供が開始される。
これらのアップグレードに加えて、Googleは、「Gemini with Personalization」もリリースした。こちらは実験的なオプトイン機能で、Geminiを自身の検索履歴に接続することで、Geminiからの回答に必要な情報の質を向上させる試みだ。

提供:ZDNET
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。