Microsoftは、パスキーをはじめとしたパスワードレスの方法でアカウントの認証をより簡単に行えるよう、サインイン画面を全面的に見直している。クラウドIDサービス「Microsoft Identity」の製品管理担当のパートナーディレクターを務めるRobin Goldstein氏は、米国時間3月27日付のブログ投稿で、新しいサインインプロセスが「Outlook」「Xbox」「Windows」「Microsoft 365」などのサービスで表示されると説明した。
新しい画面は3月にXboxで表示され始め、4月末まで順次展開される予定だ。その時点で、世界中の30億人を超えるMicrosoftユーザーが、PC上のWindowsやウェブ上のMicrosoftサービスにログインする際、改善されたプロセスを目にするだろう。
認証におけるUXの合理化
新しいプロセスの主な目的の一つとして、パスキー、顔認証、指紋認証といったパスワードレスの選択肢を簡単に利用できるようにすることがある。現在のサインイン画面では、デフォルトのログイン方法としてパスワードが使用されている。より簡単で安全な認証形式への移行を考えると、変更が必要だった。
「認証のUX(ユーザー体験)設計を合理化することで、サインインのデフォルト体験を再考し、使いやすさと安全性を一層重視できた」とGoldstein氏は述べた。「ここ数年、アカウントからパスワードを完全に削除する機能や、パスワードの代わりにパスキーによるサインインに対応する機能など、複数の機能強化を行った。われわれの新しいUXは、パスワードレスでパスキーを優先することに最適化されている」
新しい体験は、サインアップのプロセスから始まる。既存のメールアドレスでMicrosoftサービスにサインアップする場合、パスワードの作成を求められることはない。代わりに、アクセス権の取得で必要なワンタイムセキュリティコードがメールで送信される。ログインすると、パスキーの作成が求められる。パスキーが作成されると、可能な限りデフォルトのサインインオプションになる。
「新しいMicrosoftアカウントにユーザーのメールアドレスを登録することで、回復可能な状態からスタートでき、Microsoftのパスワードを新たに作成する必要がなくなる。パスワードは、忘れたり、攻撃者に推測されたりしてしまう危険性がある」とGoldstein氏は説明した。
「必要なのは、ワンタイムコードでメールを認証することだけだ。これが新しいアカウントのデフォルトの認証情報となり、パスワードなしでスタートできる。加えて、アカウントを復元したり、新しいデバイスで開始したりする場合に備え、アカウントにメールアドレスをひも付けられるようになった」
Microsoftは、サインイン画面の流れも刷新する。現在のログイン方法によっては、複数の画面が表示され、それぞれに異なる選択肢が提示されるかもしれない。これにより、UX全体が複雑で煩雑になることがある。新しいプロセスでは、より直感的な形で画面を再構成し、各画面を簡素化することで、全体の流れがスムーズになると期待される。
Fluent Design Systemの美学
次に、新しいサインイン画面の外観と操作感を紹介する。Microsoftは、サインイン画面を同社のデザインコンセプト「Fluent Design System」で再設計し、整然とした統一感のある外観を実現している。ユーザーが気を取られずに集中できるよう、画面はより中央に配置されている。さらに、スマートフォンからデスクトップモニターまで、あらゆるデバイスで適切に表示される。
ユーザーからのフィードバックで要望の多かった機能の一つが、ダークモードへの対応だ。ユーザーは好みに応じて、ライト/ダークのモードを選択できる。選択したモードは、サインインするたびに自動で有効になる。
筆者がXboxで新しいサインイン画面を試したところ、ログイン体験は改善されていた。筆者は通常、Microsoftアカウントの認証には認証アプリを使用している。新しい体験では、この方法を強化することに加え、ほかのパスワードレスの認証方法も提供している。
今すぐ新しいプロセスを試す方法
新しい画面はまず、ウェブ/モバイルアプリケーションで採用される予定だ。WindowsとWindowsアプリケーションのサポートはその後に続く。新しいプロセスの感触を確かめるには、Xboxのウェブサイトで試してみてほしい。それ以外の場合は、4月末まで待ってもらうと全体的な動作を確認できる。

提供:Lance Whitney / Elyse Betters Picaro / ZDNET
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。