IDC Japanは4月8日、国内エッジインフラにおける市場予測を発表した。支出額は、前年比12.9%増の約1兆9000億円になり、2023~2028年の5年間における年間平均成長率(CAGR)は11.8%。2028年には約2兆6000億円に達すると予測している。
IDCでは、エッジコンピューティングを集中型データセンターの外部で実行する情報通信(ICT)による処理と定義。同様の処理をするエッジインフラは、接続されたセンサーやリモートデバイスなどのエンドポイントと、コアとなるIT環境の仲介役を担うものとしている。
セクター別では、製造/資源セクターが国内市場における総支出額の約29%を占め、最大のシェアとなる。このセクターでは、「自律型オペレーション」「サプライチェーン強靭(きょうじん)化」「スマート倉庫」「品質/コンプライアンス管理」「インテリジェント在庫管理」などのユースケースが支出額の上位となっている。
次に大きい流通/サービスセクターは、国内支出額の約22%を占め、今後5年間のCAGRは11.0%と、支出額が最も成長するセクターになると予測。「ビデオ分析」「デジタルコマース」などのユースケースが支出額の上位を占めた。
企業にエッジインフラサービスを提供するサービスプロバイダーのユースケースとしては、「MEC(Multi-access Edge Computing)」「CDN(Content Delivery Network)」「VNF(Virtual Network Function)」に分類しており、サービスプロバイダーにおけるこれらの支出額は、国内エッジインフラ市場では、2028年までに約4700億円に達する見込みだ。
テクノロジー別では、AIアクセラレーターの急速な展開にリードされ、ハードウェアが最も重要な投資になっているとのこと。IDCでは、リアルタイムのデータ処理に対する需要の増加と、エージェント型AI機能をサポートする、コンピュート、ストレージ、ネットワーク機能が必要となるインテリジェントエッジの普及によって促進されると見ているとのこと。
一方で、2028年までには、サービス全体の支出額がハードウェアのシェアを上回り、5年間のCAGRは16.3%で成長すると予測している。
米IDCのクラウド&エッジサービス担当リサーチバイスプレジデントであるDave McCarthy氏は「エッジコンピューティングには、企業におけるリアルタイムデータの活用方法を再定義する術が用意されており、その将来は、企業独自の運用要求に対する、カスタマイズされた業界固有ソリューションの提供にかかっている。サービスプロバイダーは、低遅延ネットワークの構築、AI主導エッジ分析の強化、スケーラブルで安全性の高いインフラを提供するためのパートナーシップの構築など、投資を倍増させている。これらの取り組みは、エッジコンピューティングの可能性を最大限に引き出し、よりスマートな製造現場から応答性の高い医療システムまで、あらゆるものを可能にし、最終的には業種を超えたイノベーションの新たな潮流となるために重要である」とコメントしている。