Cloudflareは米国時間4月7日、AIエージェントの開発を加速する複数の新製品群を発表した。開発者は、リモートモデルコンテキストプロトコル(MCP)サーバーや「Durable Objects」の無料プラン、「Cloudflare Workflows」、従量課金制のAI推論により、AIエージェントを容易に構築・展開できるようになるとしている。
自律的な行動や意思決定を行い、環境の変化にも適応できるAIエージェントは、大幅な生産性向上を実現する可能性がある。その一方、企業は費用対効果が高いAIエージェントの構築に苦戦しているのが実情だという。AIエージェントの構築に当たり、「推論のためのAIモデル」「実行のためのワークフロー」「ツールやサービスにアクセスするためのAPI」――の3つのコアコンポーネントにアクセスする必要がある。同社は、スケーラブルなエージェントシステムを構築するためには、拡張可能性とコスト効率が高いプラットフォームに各コンポーネントをアクセスできるかが鍵になると指摘する。
これらを踏まえ、同社はAIエージェントを構築するためのサービスを幾つか提供する。
まず、Cloudflareのグローバルネットワーク上にリモートMCPサーバーを容易に構築・展開できるようにすることで、AIエージェントはローカルホストサーバー無しでインターネットへの安全な接続が可能になった。MCPは、AIエージェントが外部サービスと直接やりとりできるオープンソース規格で、メールの送信やコード変更の適用などさまざまなタスクをユーザーの代わりに実行する。これまでMCPはデバイス上でのローカルな動作の実行に限定されており、幅広い普及には至っていなかった。
Cloudflare上に構築されたMCPサーバーはコンテキストを保持でき、各ユーザーに持続的かつ継続的な体験を提供する。また、Identity as a Service(iDaaS)「Auth0」、認証プラットフォーム「Stytch」、認証サービス「WorkOS」とのパートナーシップで、ユーザーがエージェントに権限を委任できるように認証と承認を簡素化し、エージェントの迅速な導入を行う。
これまで有料プランでのみ提供していたDurable Objectsが無料でも利用できるようになり、AIエージェントの構築に必要なコンポーネントへのアクセスが拡大した。同サービスは、コンピューティングとストレージを組み合わせた開発者ツールで、サーバーレス環境でアプリケーションを構築できる。ユーザーの好き/嫌いを記憶したり、以前のイベントに基づいて行動を変更したりするなど、コンテキストを維持する必要があるAIエージェントに対して理想的な基盤を提供する。
同日付で提供を開始したCloudflare Workflowsは、分単位や時間単位、日単位、数週間にわたって自動的に再試行、持続、実行できるマルチステップのアプリケーションを構築できる。これにより、開発者や組織は、AIを取り入れたマルチステップのアプリケーションを構築・管理できるようになるという。
また、AI推論の従量課金制で費用対効果が高いAIの導入が可能になった。従来のハイパースケーラーでは、AI推論において予想できる最大レベルの容量を事前に準備・確保する必要があった。Cloudflareのサーバーレスプラットフォームでは、AI推論を使用した分だけ従量課金制で支払うことができ、大幅なコスト削減につながるとしている。同プラットフォームでは、需要に応じて推論とAIエージェントのリソースを自動的にスケールし、ゼロからグローバル規模まで数ミリ秒で調整できるという。