2011年、ベンチャーキャピタリストでソフトウェア開発者でもあるMarc Andreessen氏は、「ソフトウェアが世界を侵食しつつある」と主張しました。この言葉には先見性があり、現在のソフトウェア開発業界は、人工知能(AI)とサイバーセキュリティのトレンドに後押しされ、変革的な成長を遂げています。かつてはハイテク分野のニッチな一角に過ぎなかったものが、今やグローバルビジネスの基幹へと変貌を遂げていると言えるでしょう。
ソフトウェア開発業界は変化し続けています。企業そして社会全体が、競争力を維持するために常に適応しようとしています。例えば、日本の大手自動車メーカーであるトヨタ自動車、ホンダ、日産自動車は、車に搭載するソフトウェア開発で提携することになりました。ソフトウェアとほかのシステムをつなぐ役割を果たすアプリケーションプログラミングインターフェース(API)の基本プラットフォームを標準化し、3社のさまざまなソフトウェアをインストールできるようにすることが目的です。この提携は、日本政府がソフトウェアデファインドビークル(SDV)の開発強化を目指す「モビリティDXプラットフォーム」に由来するプロジェクトの一つでもあります。
SDVはモビリティー産業を再構築するものであり、企業も国も同様に、この新興テクノロジーの力を効果的に活用することを切望しています。ソフトバンクは2023年12月、アイルランドの首都ダブリンを拠点とするコネクテッドビークル技術を展開するCubic Telecomを出資しました。これはアイルランドのソフトウェア業界最大の投資となり、両社は共にソフトウェアデファインドコネクテッドビークル(SDCV)の未来を開拓することになるでしょう。
数十年にわたり世界有数のテクノロジー企業と協業してきたアイルランドは、卓越したソフトウェア開発の中心地として国際的な評価を得てきました。アイルランドにはグローバル企業だけでなく、Cubic Telecomのような革新的な現地企業も急増しています。アイルランドのテクノロジー産業の活動は、今や純粋なソフトウェア開発だけにとどまりません。サイバーセキュリティやAIの分野でもアイルランドを選ぶ企業が増えています。
昨今の技術革新により、アクセラレーテッドコンピューティングと生成AIが主流となる中、アイルランドは機械学習と大規模言語モデルが主役となった時に資本を投下できるよう、ビルディングブロック形式を静かに準備してきました。
アイルランドに進出している企業の多くは、データ分析、クラウドコンピューティング、ビッグデータなどのAI関連分野の中核的研究拠点を有しています。これにはAmazon Web Services(AWS)、Salesforce、Intel、Microsoft、MasterCard、Stryker、Boston Scientific、Qualcomm、Advanced Micro Devices (AMD)、Analog Devices、General Motors(GM)、Valeoなどの企業が名を連ねています。