Microsoftは問題含みの「Recall」機能について、何度か延期と中止を繰り返したものの、再び機会をうかがっている。Recallは、2024年秋に初期の実験的機能として「Windows Insider Program」の「Dev」チャネルでテストされたが、今は「Release Preview」チャネルで徐々に提供が始まっている。
同社は米国時間4月10日に公開されたブログ投稿で、「Windows 11 24H2」の「Build 26100.3902」を使っているWindows Insider Program参加者にRecallをプレビュー版として提供すると発表した。Recallを利用できるのは「Copilot+ PC」だけだが、2025年5月に予定されているアップデートの最初のプレビュー版となる。新たな問題や懸念が生じなければ、5月にはRecallが実装されると期待できる。
人工知能(AI)を活用したRecallは、2024年5月に初めて発表され、ユーザーのコンピューターを「写真のように記憶する」とMicrosoftはうたっていた。Recallは、「Windows」でのアクティビティーのスナップショットを撮ることにより、ユーザーの操作や閲覧対象を素早く見つけられる高度な検索ツールとして機能する。一見したところ、ファイルやアプリ、設定などのコンテンツを見つけるのに役立つ素晴らしい方法のように思える。
だが、Windowsでの閲覧対象および操作すべてのスナップショットを撮る機能は、プライバシー上のリスクのようにも思われる。Recallの仕組みを知ると、Windowsユーザーは懸念を表明し、「プライバシー上の悪夢」と呼ぶセキュリティ専門家もいた。
Microsoftは、スナップショットが同社やサードパーティーと共有されたり、トレーニング目的で利用されたりすることはないと断言して、潜在的ユーザーをなだめようとしてきた。スナップショットのデータは暗号化されるため、ユーザーしか「Windows Hello」の認証を通じてアクセスできない。これまでの調整と説明をもって、Recallは少なくともWindows Insider Programでテストできるだけの準備が整ったとMicrosoftが考えているのは明らかだ。
Microsoftは、どのようにしてスナップショットを安全に保管、保護しようと努めているかについても説明した。Recallはデフォルトでは無効になっているため、利用するにはオプトインする必要がある。その後にWindows Helloを設定しなくてはならないため、顔認証や指紋認証、PIN、物理的セキュリティキーを通じてしかスナップショットにアクセスできない。有効にしたくないと思えばいつでもRecallを無効にできる。

提供:Sabrina Ortiz/ZDNET
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。