テラスカイは4月15日、2025年2月期決算と2026年度事業戦略に関する記者説明会を開催した。2025会計年度は売上高が前年同期比29.1%増の247億円、営業利益が同177.8%増の14億円となり、ともに過去最高となった。
代表取締役CEO 社長執行役員の佐藤秀哉氏は、「1年間で約50億円の売上増加を達成できたことは、会社にとって大きな自信につながる結果となった。また、昨年度も投資は実施したものの、それを大きく上回る利益を計上することができた」と強調する。
セグメント別で見ると、ソリューション事業の売上高が前年同期比30.1%増で大きく成長。製品事業も同17.2%増と好調を維持した。特に製品事業では、データ連携ツール「mitocoX」のサブスクリプション売上が同11.9%増、グループウェア「mitoco」のサブスクリプション売上も同16.3%増となった。

テラスカイ 代表取締役CEO 社長執行役員の佐藤秀哉氏(提供:テラスカイ)
2025会計年度の従業員数は1470人に増加。地方採用を強化するため、松江市と秋田市にサテライトオフィスを開設。2025年8月には、鹿児島市と盛岡市にサテライトオフィスを開設する予定。
また佐藤氏は、2025年1月時点において「Salesforce」の認定資格保有者数がテラスカイグループ合計で国内トップであることも強調した。
2026会計年度は、売上高で前年同期比19.1%増の294億円、営業利益で同26.3%増の18億円を計画する。昨年度の好調な流れを維持し、さらなる成長を目指す。
経営戦略では、「NTTデータとのビジネス拡大」「内製化支援の拡充」「mitoco製品の販売強化」の3点をトピックとして取り上げた。
NTTデータとは、2024年4月にSalesforceのビジネスを目的とする資本業務提携を発表。今回、同社とともに「NTT DATA Salesforce Hub」を設立した。これは、両社を中心にNTTデータのグループ各社とビジネスパートナー各社が参画する横断型の組織となり、2028年までに総計5000人規模のリソースプールを確立し、需要拡大が見込まれる生成AIとSalesforceの導入、活用を迅速に対応する体制を整える。

NTTデータとのビジネス拡大について(提供:テラスカイ)
また、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進を成功させるためには、顧客ニーズの変化を捉え、迅速にアプリケーションを市場に投入し、継続的に改善していく必要がある。従来の外部委託中心の開発体制では、このスピード感を実現することは困難であり、企業自身がシステムを開発する内製化へのシフトが求められる。
こうした背景から、テラスカイは顧客企業の内製化支援を拡充させる。具体的には、DX推進の中核組織となるCoE(Center of Excellence)の設立・運営に関するコンサルティング、専門家が顧客チームと一体となって開発を進める伴走型支援、そして生産性向上に寄与する各種ツール群を提供する。
最後に、製品事業における成長戦略の柱として、mitoco製品の販売強化を挙げる。「mitocoの会計機能において、GL/AP/AR(財務会計/支払管理/債権管理)といった主要モジュールが全て完成し、『mitoco会計』としてフルモジュールでの提供が可能になった。これにより、一般企業の標準的な会計業務全般に対応できる体制が整った」(佐藤氏)
mitoco会計は、Salesforceのプラットフォーム上で稼働する会計ソリューションであり、Salesforce標準の顧客関係管理(CRM)機能や、テラスカイが提供する販売・購買・在庫システム「Fujitsu GLOVIA OM」など、さまざまなアプリケーションとシームレスに連携できる。佐藤氏は「これにより、mitoco ERP構想がついに完成した」といい、今後は本格的に市場展開していく考えを示した。

mitoco製品の販売強化について(提供:テラスカイ)
また、mitoco Xの次期バージョンとなるバージョン2を2025年6月にリリースする予定だ。これまで、同社はセゾンテクノロジーから「DataSpider」のOEM提供を受け、mitoco Xとして販売してきた。今回、同社とのOEM提携を「発展的に解消」(同氏)することで、新版は完全に自社開発の製品として生まれ変わる。「ゼロからコードを書き起こし、最新の技術トレンドを反映したモダンなアーキテクチャーを採用している」という。
佐藤氏は、量子コンピュータビジネスにも触れた。具体的には、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から教育事業を受託し、量子人材の育成に取り組んでいる。また、企業との共同研究としては、旭化成、東京大学、量子科学技術研究開発機構(QST)と連携し、共同で研究成果を発表するなど、着実に実績を積み重ねている。量子コンピューターの国際会議「Q2B 2025 Tokyo」の共同主催者/プラチナスポンサーとしても参加する。
「昨年は本当に良い1年となった。今年もスタートして1カ月ほどだが、非常に良い滑り出しとなっている。力強く成長しながら、もっと大きくなり、日本のIT業界を支えていると言えるくらいの企業になっていきたい」(佐藤氏)