JX金属は、国内外の従業員約4200人がサイボウズのノーコード/ローコード開発ツール「kintone」を業務基盤として活用している。サイボウズが4月17日に発表した。
JX金属では、2020年の本社移転と新型コロナウイルス感染症の流行が重なり、紙を中心とした申請承認プロセスの電子化が急務となった。抜本的な業務改善を目指すに当たり、同社は本社をはじめ工場や関連会社などグループ全体の多様な業務に適応できる拡張性の高い基盤作りを視野に入れるとともに、デジタル変革(DX)人材の増強や育成に向けて現場主導で業務アプリを作成できるよう、ノーコード開発ツールの導入を検討していた。
kintoneについては、概念実証(PoC)を通じて使用感や実用性を評価。また、スマートフォンとPCを使って業務を継続できる環境を整備する見通しが立ち、グループ全体のDX推進に活用することにした。
kintoneを活用した業務改善を進めるに当たり、まずは社長決裁フローの電子化に着手した。この成功事例は、グループ全体のDX意識改革に大きな影響を与えたという。社長決裁フローの電子化を皮切りに、押印申請、出張申請、時間外の空調利用申請、ケータリングの発注申請、会議室予約、備品発注、法務部門へのリーガルチェック依頼など、従来は紙で行っていた各種申請フローをkintoneで運用。その結果、紙の使用を大幅に削減し、約3000件の申請承認フローで1件当たり2〜3時間の削減効果が試算されるなど、グループ全体での業務効率化に大きく貢献した。
また、業務アプリの開発や改善では、各部署にアプリ作成権限を与え、情報システム部門が伴走しながら現場での市民開発を支援している。市民開発が進むことで、現場同士が互いにサポートし合い、新しい業務アプリが生まれるほか、一度作成したアプリは他部署で類似する業務にも展開しやすく、さらなる業務効率化につながっているという。
JX金属では、市民開発を促進するためのボトムアップツールとしてkintoneがグループ全体に広がっており、今後も増加が予想されるアプリ数やAPIリクエスト数の上限拡大、ガバナンス対応のため、2024年10月に大規模利用向けの「ワイドコース」を契約した。承認履歴の把握やプロセス管理の可視化、ポータル拡張などの機能実装も検討している。
また、生成AIとの連携を含め、kintone内の情報を有効活用する環境整備にも取り組んでいる。さらに、各部門のパワーユーザーを選抜し、ユーザー同士での市民開発を加速させる体制作りにも挑戦したいとのこと。