三菱UFJ銀行は、国際事務企画部において、グローバル事務全般の業務標準化と効率化を強化するため、ServiceNowの「IT Service Management(ITSM)」をグローバル共通の行内ポータル基盤として採用した。同ポータルは、2023年8月に開発を始め、2024年4月に運用を開始している。ServiceNow Japanが4月17日に発表した。
同部は、2025年4月現在、世界約30カ国に所在する約3000人のスタッフから成る海外支店や現地法人の事務業務全般を企画、統括する部署である。銀行業務における顧客取引を実行する記帳業務をはじめとする多様な事務手続き、さらには円滑な事務運営のために不可欠なシステム全体の標準化・効率化を持続的に強化することを目標としている。
そのような状況下において、三菱UFJ銀行は、グローバル事務に関するルールなどへの1日当たり50~60件に及ぶ問い合わせメールへの対応における課題解決を迫られていた。具体的には、共有メールボックスに集まる膨大な数の問い合わせメールを各担当者が内容確認し、担当する問い合わせを選択して対応する必要があった。
そのため、本来の課題解決に注力すべきにもかかわらず、メールのやりとりに加えて調整や整理といった作業に時間を要し、担当者の大きな負担となっていた。同時に、業務プロセスなどがサイロ化しているため、各問い合わせの進行状況の可視化、共有化が困難であるという状況もあった。
同部は、一連の課題を解決するために、ServiceNowのITSMを活用したグローバル事務共通のコミュニケーションプラットフォームを構築。ServiceNowを基盤とする行内ポータルは、一元化された窓口として、各種問い合わせをデジタルワークフロー化し、案件ごとに適切な担当グループを自動で割り当て、進行状況の可視化、共有化を実現している。また、問い合わせや対応の履歴はナレッジとして自動的に蓄積、更新され、FAQ(よくある質問)としてまとめられるため、海外担当者の自己解決率向上と同部の負担軽減につながっているという。
行内ポータルへの問い合わせ集約により、2025年にはグローバル全体で年間2200時間の削減を目標としている。
ServiceNowの生成AI機能「Now Assist」を使った概念実証(PoC)も進められている。同部は、他社の生成AI機能と比較検討した結果、Now Assistがビジネスニーズに十分に応えられると判断。さらに、Now AssistがITSMに組み込まれているため、使い勝手が良いことも想定しているという。現在は、問い合わせ内容をNow Assistで要約し、ナレッジとして蓄積する新機能の実現を目指している。

ServiceNowのITSMを基盤にした国際事務企画部の行内ポータル(提供:ServiceNow Japan)