阪大、図書館に顔認証技術を導入--ID基盤と連携し貸出可能に

加納恵 (編集部)

2025-04-21 15:54

 大阪大学は4月21日、図書館全4館に顔認証技術を活用した入館ゲートと自動貸出返却装置を導入すると発表した。学生と教職員の約3万人が利用する。

入館ゲートと自動貸出返却装置を顔認証で利用可能
入館ゲートと自動貸出返却装置を顔認証で利用可能

 顔認証の導入は、大阪大学のほか、紀伊國屋書店、パナソニック コネクトの3者で実施するもの。入館ゲートは5月から、自動貸出返却装置は秋から順次運用する予定だ。

 大阪大学では2024年に、在籍中の学生と教職員約3万人に加え、入学前や卒業後・退職後を含めた生涯的なID活用を想定した統合ID基盤「OUIDシステム」を構築。「OUID」を活用したアプリケーションの第1弾として、2024年4月に顔認証入場管理システムを構築し、顔認証による入退館ができる建物や会議室などを順次拡大している。

 今回顔認証を導入するのは、総合図書館、生命科学図書館、理工学図書館、外国学図書館の全4館。入館ゲート7台と自動貸出返却装置6台を設置した。

 2025年1月に提供を開始した大阪大学デジタル学生証・教職員証で表示される2次元コードにも対応した2次元コードリーダーを併設し、デジタル学生証・教職員証の利用シーンも拡大。さまざまなシステムをOUIDと連携することで、図書館などの業務の効率化・省力化・サービスの向上を推進していくという。

 大阪大学附属図書館の入館者は年間延べ95万人を超え、年間貸出図書は33万冊を超えているとのこと。これまでは、学生は学生証、そのほかの利用者は図書館利用者票で入館を管理し、退館ゲートで蔵書の不正持ち出しを確認していたとのこと。しかし、学生は磁気付きの学生証で入館や図書を借りられたが、教職員などは教職員証を利用しての入館などができず、図書館利用者票を申請する必要があった。このため、図書館職員には、利用者票などの発行や管理業務が大きな負担になっていたという。

 今回、大阪大学の受験生・在学生・卒業生・教職員などに関わる人材データを一意の生涯IDであるOUIDと結び付け、セキュリティ管理の基、一元的に管理し、分析・活用する基盤「OU人財データプラットフォーム」を、顔認証技術と連携することで、顔認証による入館と図書の貸出を実現。OU人財データプラットフォームに登録した学生、教職員などの顔写真・属性情報を基に顔認証を実施し、入館管理システムと自動貸出返却装置を連携することで、学生証や図書館カードを取り出す手間なく入館や図書を借りられるようになったという。

 今後は、各建物における入場ゲート、入館管理、会議室や居室の入室管理、授業・試験の出欠管理などにOUIDと顔認証技術を活用していく。

OUIDで実現するスマートキャンパス
OUIDで実現するスマートキャンパス

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]