伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、複数のAIエージェントが互いに交渉・協調しながら複雑な業務を実行する「マルチAIエージェント」の構築支援サービスを開始した。このサービスでは、顧客の課題に応じてマルチAIエージェントを作成し、業務効率化を支援する。CTCが4月21日に発表したもので、同社は生成AIを含む高度AIビジネスにおいて、2026年度末までに売上高500億円を目指しす。
近年、多くの企業で生成AIの導入が進んでいるが、その効果を最大限に引き出すには、適切なプロンプト設計やビジネスプロセスへの深い理解が必要不可欠である。こうした背景から、AI自身が業務要件を理解、判断し、複雑なタスクを自律的に進めるAIエージェント、とりわけ複数のエージェントが連携して業務を遂行するマルチAIエージェント技術への関心が高まっている。
CTCが今回開始したサービスは、こうしたマルチAIエージェントの構築を支援するものである。顧客の業務課題や要望をヒアリングした上で、AIエージェント間の連携を設計し、効率的に作業を実行するマルチAIエージェントを開発する。なお、この開発はAIソリューション技術開発を手がけるSapeetと共同で行われる。

スケジュール調整エージェントのイメージ図(提供:伊藤忠テクノソリューションズ)
サービス開始に先立ち、CTCは一例として会議スケジュール調整用のマルチAIエージェントを開発した。このエージェントは、チャットツールに参加者、目的、希望時間枠、開催期限などを入力すると、グループウェアや参加者ごとの専属エージェントと連携して最適な会議日時を自動で確定する。参加者の予定が合わない際には、各AIエージェントが調整可能な日時を類推し、エージェント同士で交渉を行うため、従来の人手による調整時間を大幅に削減できると期待される。
CTCは2023年より、企業の生成AI活用に必要なソリューションやサービスを組み合わせたプラットフォーム「LLMエコシステム」を提供している。このプラットフォームを通じて、継続的にサービスラインアップの拡充やエコパートナーとの連携を進め、生成AI関連サービスを強化してきた。今後もサービスの拡充やパートナーとのアライアンス強化を図り、多様化する顧客ニーズに応えていく方針である。