NECは、アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)との協力関係を強化した。特に、官公庁や自治体向けの事業となるパブリックビジネス領域において、より深く連携する。具体的には、日本で初めての取り組みとして、AWSプロフェッショナルサービスの専任サポート体制を構築した。NECが4月22日に発表した。これにより政府共通のクラウド利用環境である「ガバメントクラウド」への移行支援を加速させ、その品質向上を図っていく。
この連携強化の背景には、デジタル庁が進めるガバメントクラウドの利用拡大がある。具体的には、法改正によって国の行政機関にはガバメントクラウド利用の検討が義務付けられ、さらに地方公共団体や各府庁の所轄法人にも利用に向けた努力義務が課されることになった。これに伴い、ガバメントクラウドの利用案件は今後増加すると見込まれる一方、実際の移行や運用に対応するためのノウハウやリソースの不足が課題として懸念されている状況だ。

専任サポート体制の概要(提供:NEC)
今回の新たな取り組みとして、4月から、AWSの専門家チームによる有償コンサルティングサービス「AWSプロフェッショナルサービス」が、NECのパブリックビジネスユニットである官公ソリューション事業部門に対し、専任チームとして支援を提供する。AWSジャパンが、このように包括的かつ専任のチーム体制で特定の企業をサポートするのは、日本で初めてとなる。
NECは長年にわたり、中央省庁を中心として幅広い行政システムの構築、運用を手がけてきた実績があり、行政特有の業務知識やシステム化要件への対応ノウハウを強みとしている。一方、AWSとは2020年11月に日本で初めてとなるコーポレートレベルでの戦略的協業を締結するなど、これまでも緊密な関係を築いてきた経緯がある。今回の連携強化は、NECが持つ行政システムのノウハウと、AWSが有する最先端のクラウド技術とを直接的に融合させることで、中央省庁、地方公共団体、そして独立行政法人などの外郭団体を含むパブリックビジネス領域全体に対して、より高い価値を提供することを目的としている。
この連携強化を通じて、顧客はガバメントクラウドが目標とする情報システムのモダン化を着実に実現できるようになるだろう。具体的には、行政特有の要件を満たしながらも、効率的かつ先進的なシステム移行が可能となる。また、高度なセキュリティや可用性に関するNECの知見とAWSの専門技術とを組み合わせた最適なクラウド移行提案によってデジタル化が推進される。さらに、AWSの専門要員から直接的な技術支援を受けることで、高品質で安定性の高いシステム構築を迅速に実現できるほか、生成AIをはじめとするAWSの最新サービスや新機能をいち早く取り入れ、より高機能でセキュアなシステムを構築することが期待される。