人工知能(AI)エージェントがこれまで人間が担当していたビジネスプロセスを引き継ぐようになると、安全にタスクを完了するために、多くのエージェントが複数のシステムにサインインする必要が生じるだろう。最新の認証情報管理のベストプラクティスにおけるこうした課題に企業がスケーラブルに対処できるようにするため、パスワード管理ソリューションで知られる1Passwordは、パスワードマネージャー「1Password Extended Access Management」(XAM)にエージェント型AIセキュリティ機能を追加すると発表した。
この1年間、AIが人間の仕事を奪うという話があちこちで語られてきた。Bill Gates氏は先ごろ出演したテレビ番組で、今後も残る仕事は、生物学者、エネルギー専門家、AI自体を作成するプログラマーの3つだけだと予測した(もっとも同氏は、番組のホストを務めたJimmy Fallon氏に対し、コンピューターが野球をしても見たがる人はいないだろうとも述べている)。しかし、ほとんどの人が、1つの作業を終わらせるだけでも、仕事を進めるために複数のシステムへのログインを余儀なくされている中、AIエージェントが普及し始めたら、誰がエージェントの認証情報を安全に管理するのだろうか。
「私たちは今、大規模な変革の瀬戸際に立っている」と、1Passwordで最高経営責任者(CEO)を務めるDavid Faugno氏は米ZDNETの取材に対して述べている。「AIエージェントは、生産性とイノベーションを大きく加速させる可能性を秘めている。だが、これらのAIエージェントも仕事を進めるに当たって、システムへのログインなど、人間のような活動ができる能力を求められるだろう。残念ながら、従来のIDおよびアクセス管理ソリューションは、AIエージェントのような人間でも機械でもない存在の認証情報を管理し、保護するようには設計されていない」
1Passwordで共同CEOを務めるJeff Shiner氏もプレスリリースで、「機械並みのスピードで休むことなく動作するため、私たちが見たことのないような方法でワークフローを拡張する」というAIエージェントの破壊的な可能性に言及する一方、人間向けに設計された旧来のセキュリティモデルでは、スピードとスケールにおけるエージェント型AIの潜在能力を十分に生かせないと指摘した。
今回の発表で、1PasswordはXAM向けに3つの新しいエージェント型AI機能を紹介した。AIエージェント特有の秘密情報を扱う分離式ボールト、ボールト内のアイテムをAIワークフローに組み込んでプログラム的に管理できる範囲限定型API、およびそれらのワークフローの開発と自動化でソフトウェアエンジニアを支援するソフトウェア開発キット(SDK)だ。

提供:lucadp/Getty Images
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。