初めてLinuxにログインした時の記憶と、その独特な外観は今でも忘れられない。OSは「Caldera OpenLinux 1.0」で、デスクトップ環境は「FVWM95」だった。正直、見た目は(当時の水準から見ても)洗練されておらず、それまで触れてきたどのデスクトップとも別物だった。しかし、未知の技術に触れ、真に安定したOSとはどんなものなのかを知る過程は、非常に楽しい経験だった。
最初の一歩を踏み出してから、ずいぶんと長い時間が経った。Linuxがいかに進化してきたのかを改めて考えることが主な目的とはいえ、時折、当時を振り返る必要があると感じている。
先ごろ、筆者は「Exe GNU/Linux」を偶然発見し、いつものように好奇心をかき立てられた。このディストリビューションは、「Devuan GNU/Linux」をベースとしており、「Trinity」デスクトップ(「KDE 3.5」のフォーク)を採用している。Trinityが興味深いのは、「KDE Plasma」になる前の「KDE」からフォークされた点にある。つまり、KDEがより現代的なものへと進化する前の姿を知りたいのなら、Trinityはうってつけだ。
つまり、Exe GNU/Linuxが提供するのは、基本的に2000年代初頭のルック&フィールを持つLinuxデスクトップということになる。
だが、これは現代でも実用的なLinuxディストリビューションなのだろうか。それを確かめるべく、実際にインストールしてみることにした。
Exe GNU/Linuxの主な特徴
最初に、Exe GNU/Linuxを試すべき理由を考えてみよう。主な特徴は次の通りだ。
- 「systemd」を使用しない:Exe GNU/LinuxはDevuanをベースとしているため、systemdを起動サービスとして使用しない。筆者はsystemdのことを優れたツールだと思っているが、Linuxコミュニティーには、systemdはあまりにも複雑で肥大化していると考える人も多い
- 軽量:Exe GNU/Linuxは軽量かつ高速なので、古いハードウェアや性能の低いハードウェアに最適だ
- シンプルなインストール:昔のディストリビューションと違って、Exe GNU/Linuxは非常に簡単にインストールできる
- 自由ではないリポジトリーを回避 :自由ソフトウェアを支持するディストリビューションを求めている人にとって、Exe GNU/Linuxは最適な選択肢だ
Exe GNU/Linuxの第一印象
Exe GNU/Linuxを使い始めてすぐに、初めて触れたLinuxを何度も思い出した。もちろん、当時とは異なる点もある。例えば、プリインストールされているアプリケーションを確認しようとデスクトップメニューを開くと、膨大な数のソフトが並んでおり、その多くはおそらく一度も起動しないだろう。筆者がLinuxを使い始めた頃は、ほとんどのディストリビューションに科学技術計算向けソフトウェアなどが多数搭載されていた。
Exe GNU/Linuxからも同じような印象を受けたので、すぐにパッケージマネージャーのGUIを探して、「Synaptic」を見つけた。アプリを起動すると、rootユーザーのパスワードを求められたが、筆者はログイン時にrootユーザーを無効にしていた。
この問題を回避するため、ターミナルウィンドウを開いて、以下のコマンドを実行した。
sudo synaptic
ユーザーパスワードを入力すると、Synapticが起動した。
初期の頃は、こういう手順を実行することが多かった。ほぼ全ての操作に余分な手順が必要であるように感じていた。
Synapticで「LibreOffice」を検索したが、何もヒットしなかった。そんなはずはないのだが、何度検索しても見つからなかった。LibreOfficeをコマンドラインからインストールしようとしてもうまくいかなかった。どうすればいいのだろうか。
結局、やらなければならないことが幾つもあることが分かった。昔のスキルを駆使して、ようやくLibreOfficeのインストールに成功した。まず、日付と時刻が間違っていたので、LibreOfficeのサイトにアクセスできなかった。そのため、dateコマンドを以下のように実行する必要があった。
sudo date --set="2025-04-21 09:02:00"
これで、LibreOfficeのサイトにアクセスしてインストーラーファイルをダウンロードできるようになった。幸い、依存関係のスパイラルに陥ることもなく、数分でLibreOfficeをインストールできた。

提供:Jack Wallen/ZDNET
これで、Exe GNU/Linuxの利便性が少し向上した。