AI insideは4月23日、年商50億円以上の大企業を対象に実施したAIエージェント活用実態調査の結果を発表した。それによると、導入の目的および効果のトップは人件費や業務運営費などのコスト削減だった。
調査は、対象企業で社内のデジタル変革(DX)推進やAI導入の関係者にインターネットでアンケートしたもの。実施期間は3月14~15日で、220人が回答した。
まずAIエージェントの活用状況は、「導入検討中」が23.6%で最も多く、以下は、「試験的導入」(20.0%)、「情報収集中」(20.0%)、「積極的に活用中」(15.9%)、「導入し活用中」(15.0%)、「導入検討も見送り」(1.8%)、「導入予定も関心もない」(1.8%)、「不明」(1.4%)、「導入も使用中止」(0.5%)だった。
上記のうち導入検討中や情報収集中などとした回答者(169人)の導入目的(複数回答)では、「コスト削減(人件費や運用コストを削減したい)」が54.4%で最も多かった。以下は、「業務の精度向上(人的なミスを削減して精度や品質を向上させたい)」が47.9%、「業務の自動化・効率化(定型業務や単純作業の自動化を進めたい)」が42.0%、「データの分析・活用の強化」(40.8%)、「顧客対応の向上」(37.3%)、「顧客体験の向上」(30.2%)などだった。
他方で、導入検討中や積極的に活用中などした回答者(164人)の具体的な用途(複数回答)には、「文書作成・レポート生成(議事録作成、要約、翻訳、自動記録)」(53.0%)や「データ入力・チェック(経理処理、請求書処理、入力ミス検出)」(50.0%)、「カスタマーサポート(チャットボット、問い合わせ対応の自動化)」(43.3%)、「パーソナライズ対応」(42.3%)、「社内問い合わせ・ヘルプデスク対応」(37.8%)、「メール・タスク・スケジュール管理」(34.8%)、「プログラミング・コーディング支援」(30.5%)などが挙がっている。
AIエージェントを導入、活用中の回答者(112人)に具体的な効果を尋ねた(複数回答)ところ、「人件費や運用コストの削減」が53.6%で最多だった。以下は「業務効率化によりリソース配分が最適化された」(45.5%)、「人的ミスが減少し業務精度が向上」(42.9%)、「人手不足の解消につながった」(41.1%)、「業務プロセスの見直し・最適化が進んだ」(35.7%)などとなっている。
同じく導入、活用中とした回答者に働き方への影響を聞いたところ、91.1%が「ポジティブな変化」を挙げた。具体的な影響では、「AIとの協働スキル(AIの活用・管理)が求められるようになった」(52.0%)、「新しい業務スキルの習得が必要になった」(45.1%)、「従業員間のストレスが減り、働きやすさが向上」(43.1%)、「チームや部門間のコミュニケーションが変化し、連携が強化」(40.2%)が上位に挙がった。
また、AIエージェントの導入による人材不足への効果は、「やや解消」(55.3%)、「大幅に解消」(23.2%)、「あまり解消されていない」(15.2%)、「全く解消されず」(3.6%)、その他・不明が(2.7%)となっている。人材採用や戦略への影響では、「採用ターゲットの変更(AI活用を前提としたスキル要件の設定など)」(53.0%)、「新しい専門職や職務の創出(AI活用推進担当など)」(51.2%)、「既存社員の再教育・スキルシフト」(48.8%)が上位だった。