トゥモロー・ネットは4月25日、「マルチAIエージェント」機能を実装したAIコミュニケーションプラットフォーム「CAT.AI」の最新バージョンを発表した。7月に提供を開始する。
CAT.AIは、ボイスボットとチャットボットを統合した「CAT.AI CX-Bot」や、生成AI連携サービス「CAT.AI GEN-Bot」などを含むAIコミュニケーションプラットフォーム。独自の自然言語処理(NLP)技術や直感的なユーザーインターフェース(UI)デザインにより、金融、保険、飲食、官公庁など幅広い分野で導入されている。
マルチAIエージェントは、業務用途に応じて専門性を持つ複数のAIエージェントが、情報収集・判断・応答などの機能を分担し、連携して動作する。ユーザーからのリクエストに対し、「リードエージェント」と呼ばれる司令塔が各エージェントの動作を制御・連携させ、タスクの並行処理を可能にする。これにより、従来の単一AIエージェントでは対応が難しかった複雑な業務にも柔軟に対応できる。問い合わせ業務における回答の幅を広げ、AIによる自動化システムの運用簡素化、業務効率化、そしてスムーズで分かりやすい顧客体験(CX)の向上を促進する。

シングルエージェントとマルチエージェントの違い
マルチAIエージェントは、主に4種類のエージェントで構成される。タスク実行型の「Operational AI」は受発注や資料作成、データ解析などを担う。検索拡張生成(RAG)と大規模言語モデル(LLM)を活用する「Generative AI」は、商品情報検索やFAQ作成、専門的な回答を生成する。ナビゲーション形式で手続きを進める「Navigational AI」は、カスタマーサポート業務やユーザー情報の特定などを担当する。そして、AIの対応範囲外や緊急性の高い問い合わせ、感情的な対応が求められる場面では「Human」(有人エージェント)へのエスカレーションも可能だ。これらのエージェントは、用途に応じて柔軟に組み合わせて利用できる。

【ユースケース例】 損害保険業界:保険金の請求可否に関する問い合わせ対応
具体的なユースケースとして、損害保険業界における保険金請求可否の問い合わせ対応が挙げられる。契約者からの問い合わせに対し、まずGenerative AIが規約やFAQから最適な回答を生成し、追加質問にはNavigational AIが必要情報を収集、そのままOperational AIが請求手続きをガイドするといった一連の流れを、マルチAIエージェントが連携して対応する。必要に応じて有人エージェントへスムーズに引き継ぐことで、ユーザー体験を最適化する。