Microsoftは米国時間4月25日、「Copilot+PC」向けに「Recall」とAI搭載の「Windows検索」、そして「Click to Do」を導入した。
これら3つの機能は、4月にWindows Insider向けに先行公開されており、これまでプレビューモードのみでの提供だった。Microsoftは現在、4月の非セキュリティプレビュー更新プログラムを通じて、条件を満たす全ての一般消費者向けPCに段階的に提供している。
この提供は今後1カ月にわたって段階的に展開される予定であり、同社は、特にRecall機能について、これらの新機能がどのように受け入れられ、利用されるかを注視していくことになるだろう。
Recall

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2024年5月に初めて発表されたAI搭載のRecallは、短いながらも波乱に満ちた経緯をたどってきた。Microsoftはこれをコンピューターの「写真記憶」のようなものと宣伝しており、RecallはWindows上でユーザーが見たり行ったりするほぼ全ての事柄を連続的にスナップショットとして記録する。これは、ユーザーがアクセスしたあらゆるファイル、設定、アクティビティー、その他のコンテンツを取得するように設計された、高度なAI搭載検索ツールと見なすことができる。
しかしながら、Windowsのアクティビティーをスナップショットとして記録するという機能は、プライバシーに関する懸念を引き起こした。実際、Recallは当初、Windowsユーザーや一部のセキュリティ専門家から「プライバシーの悪夢」と評されるほどの反響を呼んだ。
この反響を受けて、MicrosoftはRecallの対象ユーザーと提供範囲を調整した。当初は全てのCopilot+PC向けのプレビュー機能として設計されていたものの、この機能の提供はWindows Insiderに限定された。それでもなお、Microsoftは、物議を醸した側面を微調整しつつ、Recallの提供を一時停止したり延期したりすることを繰り返した。
今回の新たな展開において、Microsoftは、Recallがオプトイン機能であり、ユーザーが有効にしない限りデフォルトでは無効になっている点を強調している。Recallにアクセスするには「Windows Hello」認証が必要であり、ユーザーのデータは暗号化され、デバイス上でのみ処理される。さらにMicrosoftは、情報がクラウドに送信されたり、同社や第三者と共有されたりすることはないと約束している。
それでもRecallがWindowsのアクティビティーを記録することに懸念がある場合は、PCから完全に削除することも可能である。ただし、一つ注意点がある。Recallを削除した後でも、Windowsはこの機能で使用される実行不可能なバイナリーファイルの一時コピーを保存する場合がある。もっとも、これらはいずれ時間が経てば削除される。
Recallを使用するには、次の要件を満たすPCが必要となる。
- 「Secured-Core」標準に準拠したCopilot+PC
- 40TOPs(1秒当たり40兆回の演算)以上の処理能力を持つニューラルプロセッシングユニット(NPU)を搭載
- 16GB以上のRAMを搭載
- 8個の論理プロセッサーを搭載
- 256GB以上のストレージ容量(少なくとも50GBの空き容量が必要)
- デバイス暗号化または「BitLocker」が有効
- Windows Hello認証が有効で、顔認証や指紋認証などの生体認証サインインオプションを少なくとも一つ設定
改善されたWindows検索

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次に、改善されたWindows検索について述べる。従来、「File Explorer」で特定のファイルを検索する際には、ファイル名の全部または一部を記憶している必要があった。しかし、今回提供される改善されたWindows検索では、探しているファイルを自然な言葉で記述するだけで検索が可能になる。
File Explorer、検索ボックス、設定で利用できるこの新機能により、自然言語を用いてドキュメント、画像、設定、その他のコンテンツを検索できる。Microsoftによれば、この改善された検索機能を使用して画像を検索し、新しいフォルダーにコピーするのに要する時間は、従来の「Windows 10」の検索で同じタスクを実行する場合と比較して70%短縮されるという。
Copilot+ユーザーは、これが事実かどうかを間もなく評価できるようになるだろう。なお、この機能を利用するには、Recallと同様の要件を満たすCopilot+PCが必要である。
Click to Do

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3番目の新機能はClick to Doである。この機能では、画面上のテキストまたは画像を選択すると、File Explorerでフォルダーやファイルを右クリックした場合と同様に、さまざまなアクションを実行できるメニューが表示される。この際、MicrosoftのAIが画面を分析し、ユーザーがテキストまたは画像の特定の領域を選択できるようになっている。表示されるメニューは、選択した内容に応じて変化する。
例えば、テキストの場合、クリップボードへのコピー、「Notepad」などのテキストエディターで開く、ウェブ検索といった操作が可能である。テキストがメールアドレスであれば、コピーやメール送信ができ、ウェブページであれば、デフォルトのブラウザーで開くことができる。また、テキストによっては、要約、箇条書きへの整理、書き直しといったことも可能となる。
画像の場合は、クリップボードへのコピー、保存、共有、「Photos」や「Paint」といったアプリで開く、ビジュアル検索の実行などができる。さらに、Photosアプリを使用した背景のぼかしやオブジェクトの消去、Paintを使用した背景の削除も可能である。
プライバシーへの配慮として、AI分析はPC上でローカルに実行される。このプロセスは、ユーザーがClick to Doをアクティブにした場合にのみ開始され、機能を閉じると終了する。Microsoftは、Click to Doがテキストと画像を識別するのみで、実際のコンテンツを詮索することはないと約束している。
Click to Doの画像アクションは、全てのCopilot+PCで利用可能となっている。一方、テキストアクションは、「Snapdragon」搭載のCopilot+PCから提供が開始され、今後数カ月以内に「AMD Ryzen」およびIntelチップ搭載のPCにも展開される予定である。

提供:Microsoft
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。