トヨタが本気で「未来都市」に挑む
2020年末に閉鎖されたトヨタ自動車(以下、トヨタ)の東富士工場(静岡県裾野市)の跡地。東京ドーム約15個分、約70万8000平方mという圧倒的スケールで、新たなスマートシティー構想「Woven City」(ウーブン・シティ)が着工されようとしています。
このプロジェクトを推進するのは、かつてトヨタの自動運転開発を担ったトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)。彼らは事業再編の末に、Woven Planet Holdingsという新たな旗印を掲げ、モビリティーにとどまらず、都市設計そのものを未来へと織り上げていこうとしています。
しかも、このWoven Planetには、トヨタの代表取締役会長、豊田章男氏自身が個人資金を投入しているという事実。これは単なる事業ではありません。トヨタが、そして豊田氏自身が、「生き方そのものを変える」未来創造に本気で挑んでいる証です。
では、ここで一つ問うてみたいと思います。
このスマートシティー構想に、もしインテントAIが本格的に組み込まれたら?
一体どのような世界が立ち上がるのでしょうか。
「インテントAI×Woven City」--意図で動く都市
インテントAIとは、単なる命令型AIではありません。ユーザーが「いま何を成し遂げたいのか」、インテントをリアルタイムに読み取り、先回りして提案・実行する意図先読み型のAIです。
これが都市設計と融合すると、都市はもはや単なる「場所」ではなく、個々人の意図に呼応して変化し続ける「生きた存在」になります。例えば、こうです。
- 住民が「今日はリフレッシュしたい」と思っただけで、最適なルートにグリーンエリアが開かれる
- 高齢者が「外に出てみたい」と考えた瞬間、自動運転シャトルがルートをアレンジして迎えに来る
- 子どもが「自由に遊びたい」と感じたら、センサー群が安全エリアを拡張し、リスクを自動制御する
つまり、都市全体が「意図に応じて即座に形を変える」インターフェースになります。Woven Cityが本気でこれを目指せば、世界初の「インテントベース都市」が誕生する可能性があります。