NTTは4月30日、鋼材を使用したインフラ施設の画像から腐食の進行を予測する技術を確立したと発表した。道路や橋など、さまざまな施設における将来の状態を把握し、点検周期と補修時期の最適化を目指す。

鋼材腐食の進行予測
今回の技術は、デジタルカメラにより撮影した画像から将来の腐食の広がりを予測した画像を生成できるというもの。腐食が進行した実際の施設の画像と設置環境のデータの学習により高精度な予測画像の生成が可能になったという。深層学習手法の敵対的生成ネットワーク(GAN)をベースに構築しており、これにより、入力データの特徴を学習することで、擬似的なデータを生成できるという。
NTTでは、このGANに経過年数と腐食の増加量に加え、過去と現在の施設画像を活用して腐食の面積・形状・色などの情報を学習させたモデルを構築。さらに気温や降水量といった化学的に腐食進行に影響すると想定される複数の環境データの中から、最適なパラメータを選び出し、画像と一緒にモデルに入力できる構成にしたことで、個々の腐食の進行速度を正確に予測できるモデルを確立したという。
実際の過去画像から現在画像までの腐食領域の増加率と、今回の技術による予測画像の増加率を比べたところ、実際と予測の増加率の平均誤差は9.9%、ばらつきは3.7%だったとのこと。
橋、鉄塔、ガードレールといった鋼構造のインフラ施設の老朽化を進行させる主な要因は鋼材の腐食で、インフラ施設の大部分は屋外に設置されていることから、雨水、風、結露などの影響を受けて鋼材に腐食が発生する。施設管理者は定期的な点検により施設の腐食状態を確認し、維持管理を行う必要があるが、現行では全ての施設に対して一律の周期で点検を実施しているため、毎年膨大なコストが発生しているという。
今回の技術により、腐食進行が遅い施設は点検周期を長くすることでコストを抑え、腐食進行が早い施設は点検周期を短くすることで安全な維持管理ができるとしている。2025年度にNTTグループ会社で道路橋を対象としたサービス化を予定している。