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ITエンジニアの単価が上昇中、背景事情と米国との違いとは

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2025-05-15 07:00

 日本において、ITエンジニアの単価が上昇傾向にある。背景には、企業のシステム内製化の進展があるようだ。パーソルキャリアの「HiPro Tech」が2025年2月に発表した「ITフリーランスエンジニアの平均月額単価ランキング」によれば、2024年の1年間におけるフリーランスエンジニアの平均月額単価は、職種別で最高120万円に達した。特に「DXコンサルタント」が120万円、「ITコンサルタント」が118万2000円、「プロダクトオーナー/プロダクトマネジャー」が110万4000円と、上流工程を担う職種の単価高騰が目立つ。

 企業が外部委託から自社開発への転換を図る中で、優秀なIT人材の確保が重要視されている。特に、AI、クラウド、セキュリティなどの先端技術に精通したエンジニアの需要が高まっており、企業は高い報酬を提示してでも人材を確保しようとする動きが強まっている。また、非IT企業においても、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進やIT戦略の実行とそのための人材の確保が、企業成長のための急務となっている。

 一方、米国でもITエンジニアの報酬動向に注目が集まっているが、日本とは少し違う事情がある。Robert Half の2025年給与ガイドによれば、AI、サイバーセキュリティ、クラウド技術に関する経験を持つ人材は高い報酬を得ている。

 しかし、米テクノロジー業界全体では、新型コロナウイルス感染症によるパンデミック後の雇用市場の変化により、ソフトウェア開発職の求人が2020年2月以降30%以上減少しており、特にエントリーレベルの職種やインターンシップの機会が減少している。

 また、アトランタ連邦準備銀行の「Wage Growth Tracker」を基にしたBusiness Insiderの記事によると、職を変えることによる給与の上昇幅が縮小しており、2025年2月の時点で職を変えた労働者の給与増加率は4.2%にとどまり、2023年初頭の7.3%から大きく低下している。パンデミック後の大離職時代における労働者不足による賃金上昇が収束し、インフレの鈍化や求人の減少、労働者間の競争の減少などが影響していると分析しており、米国での実態を映している。

 日本ではシステム内製化の進展に伴いITエンジニアの単価が上昇している一方、米国では特定のスキルを持つ人材に対する需要は高いものの、業界全体としては雇用の安定性や報酬の伸びが限定的な状況にある。

 ITエンジニアを巡る状況を示す記事を集めた。

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