人工知能(AI)の人気が最初に急上昇して以来、企業にとっての疑問は、「導入すべきか?」から「どのように導入すれば成果を最大化できるか?」へと変化してきた。だが、最高経営責任者(CEO)は、その先頭に立つために必要な資質をビジネスリーダーたちが備えているのか確信を持てずにいる。
調査会社のGartnerは米国時間5月6日、世界各国のCEOなど上級経営幹部456人を対象とした「Gartner CEO and Senior Business Executive Survey」の結果を発表した。この調査では、CEOが「AIに精通している」と考えている最高情報責任者(CIO)の割合は44%に過ぎなかった。
また、CEOは最高情報セキュリティ責任者(CISO)や最高データ責任者(CDO)についても、本来はテクノロジーに精通している役割であるにもかかわらず、AIへの理解が不足していると受け止めていた。
だが、大半(77%)のCEOは、AIがビジネスの新時代をもたらすと見なしており、必要なデジタルトランスフォーメーション(DX)を実行できる人材を確保するという目標と認識の乖離(かいり)を浮き彫りにしている。こうした乖離は目新しいものではなく、2019年の調査でも、CEOは自社の経営幹部について、デジタル時代に必要なテクノロジーへの理解が不足していると見なしていた。

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Gartnerのディスティングイッシュト・バイスプレジデント・アナリストでフェローのDavid Furlonger氏は、次のように述べている。「AIは、ビジネスと社会の仕組みにおける大きな変化だ。重要なのは、経営幹部の理解が急速に深まらなければ、競争力が低下し、会社の存続が危うくなるという点だ」
CEOは、AI導入に影響する上位2つの制限要因として、十分な人数の熟練者を雇用できないことと、AI技術の価値や成果を評価できないことを挙げた。
企業はAIにかなりの投資をしているが、AI導入の投資利益率(ROI)に関する確たるエビデンスは不足しており、そのため、ビジネスリーダーは戦略策定に苦労している。McKinseyのレポートでは、すべての業界で経営幹部らが会社全体のAI投資に対する利益は限定的だとしており、売り上げが5%以上増加したと回答した経営幹部は19%にとどまった。

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この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。