大半のCEOが経営幹部の「AIに対する理解度」を不安視--ガートナー調査

Sabrina Ortiz (ZDNET.com) 翻訳校正: 矢倉美登里 吉武稔夫 (ガリレオ)

2025-05-08 09:37

 人工知能(AI)の人気が最初に急上昇して以来、企業にとっての疑問は、「導入すべきか?」から「どのように導入すれば成果を最大化できるか?」へと変化してきた。だが、最高経営責任者(CEO)は、その先頭に立つために必要な資質をビジネスリーダーたちが備えているのか確信を持てずにいる。

 調査会社のGartnerは米国時間5月6日、世界各国のCEOなど上級経営幹部456人を対象とした「Gartner CEO and Senior Business Executive Survey」の結果を発表した。この調査では、CEOが「AIに精通している」と考えている最高情報責任者(CIO)の割合は44%に過ぎなかった。

 また、CEOは最高情報セキュリティ責任者(CISO)や最高データ責任者(CDO)についても、本来はテクノロジーに精通している役割であるにもかかわらず、AIへの理解が不足していると受け止めていた。

 だが、大半(77%)のCEOは、AIがビジネスの新時代をもたらすと見なしており、必要なデジタルトランスフォーメーション(DX)を実行できる人材を確保するという目標と認識の乖離(かいり)を浮き彫りにしている。こうした乖離は目新しいものではなく、2019年の調査でも、CEOは自社の経営幹部について、デジタル時代に必要なテクノロジーへの理解が不足していると見なしていた。

提供:Gartner
提供:Gartner

 Gartnerのディスティングイッシュト・バイスプレジデント・アナリストでフェローのDavid Furlonger氏は、次のように述べている。「AIは、ビジネスと社会の仕組みにおける大きな変化だ。重要なのは、経営幹部の理解が急速に深まらなければ、競争力が低下し、会社の存続が危うくなるという点だ」

 CEOは、AI導入に影響する上位2つの制限要因として、十分な人数の熟練者を雇用できないことと、AI技術の価値や成果を評価できないことを挙げた。

 企業はAIにかなりの投資をしているが、AI導入の投資利益率(ROI)に関する確たるエビデンスは不足しており、そのため、ビジネスリーダーは戦略策定に苦労している。McKinseyのレポートでは、すべての業界で経営幹部らが会社全体のAI投資に対する利益は限定的だとしており、売り上げが5%以上増加したと回答した経営幹部は19%にとどまった。

提供:Getty Images / Teera Konakan / ZDNET
提供:Getty Images / Teera Konakan / ZDNET

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. クラウドコンピューティング

    標準化されたOS「Linux」で実現するIT環境の効率化、検討すべき9つの事項とは

  2. クラウドコンピューティング

    CentOS Linuxアップデート終了の衝撃、最も有力な移行先として注目されるRHELの今

  3. クラウドコンピューティング

    調査結果が示す「Kubernetes」セキュリティの現状、自社の対策強化を実現するには?

  4. OS

    Windows 11移行の不安を“マンガ”でわかりやすく解消!情シスと現場の疑問に応える実践ガイド

  5. 運用管理

    AWSに移行することのメリットと複雑さ--監視ソリューションの導入から活用までを徹底解説

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]