このところ、多くのAIチャットボットが「Deep Research」機能を提供するようになっている。この機能を使うと、ボットがユーザーに代わって特定のトピックについて深く調べることができる。まるで自律的なAIエージェントのように、ボットがユーザーの代わりにウェブを巡回し、適切なオンラインソースを見つけ出し、その調査結果をもとに詳細なレポートを作成して提示する。これにより、ユーザー自身が何十、何百ものウェブサイトをチェックする手間を省けるのが大きな利点だ。
Deep Research機能は、多くのAIサービスにおいて急速に重要な機能となっている。現在、OpenAIの「ChatGPT」をはじめ、「Google Gemini」「Perplexity AI」、そしてxAIの「Grok」(こちらは「DeepSearch」と呼ばれている)などが同機能を搭載している。Microsoftも、「Researcher」と「Analyst」という2つのAIエージェントを通じて、一種のDeep Research機能を提供しているが、これらを利用するには「Enterprise」または「Business」プランを含む「Microsoft 365 Copilot」ライセンスが必要であり、一般のユーザーはまだアクセスできない。
Deep Research機能は、確かに便利で役に立ちそうだ。しかし、提供するAIサービスによって、この機能の仕組みや得られる結果はどう違うのだろうか。この疑問に答えるべく、主要なAIチャットボット、すなわちChatGPT、Gemini、Perplexity AI、Grokで実際に試してみた。それぞれのAIには、「タイムトラベルが映画やテレビでどのように描かれており、それが私たちの価値観、恐怖、欲望について何を物語っているのか」という全く同じ質問を投げかけてみた。
ここからは、各AIの調査モードがどのように機能し、それぞれが筆者の設定したトピックにどう対応したかを紹介する。
ChatGPT
OpenAIのChatGPTには、Deep Research機能に2つのタイプがある。1つは詳細で綿密なレポートを作成する「フルバージョン」と呼ばれ、もう1つはより短く詳細度は低いものの、素早くレポートを提供する「軽量バージョン」になる。フルバージョンで調査すると、最適な情報源を見つけてレポートにまとめるのに最大30分かかる場合があるが、軽量バージョンは通常わずか数分で完了する。どちらのバージョンを利用できるか、そして月に何回クエリーを実行できるかは、ユーザーが契約しているプランによって異なる。
例えば、ChatGPT Plus、Team、Eduのユーザーは月に合計25件(フルが10件、軽量が15件)、Enterpriseユーザーは月に10件(フル)、Proユーザーは月に250件(フル/軽量で各125件)のクエリーを実行できる。無料ユーザーは月に5件までで、利用できるのは軽量バージョンのみだ。フルバージョンの回数制限に達した場合、それ以降のクエリーは自動的に軽量バージョンとして処理される。
フルバージョンを使うにしても、軽量バージョンを使うにしても、基本的なプロセスは同じだ。ChatGPTのウェブサイトにアクセスするか、「iOS」「Android」用のアプリを開く。「Windows」「macOS」用のデスクトップアプリでも利用できる。プロンプトフォームに調べたい内容を入力または音声で話しかけ、Deep Researchのボタンを選択してリクエストを送信する。フルバージョンが有効な場合は、応答を得るまで少し待つ覚悟が必要である。軽量バージョンが有効な場合は、それほど長く待つ必要はない。

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映画やテレビにおけるタイムトラベルに関するクエリーを、フルバージョンと軽量バージョンの両方で試した。フルバージョンではPlusプランを使用し、軽量バージョンでは無料プランを利用した。どちらも「GPT-4o」モデルを使用していた。どちらの場合も、まず分析の種類を明確にするよう求められた。例えば、テーマ的な視点と歴史的な視点のどちらを選ぶか、古典的な映画やテレビ番組だけを含めるか、現代のものも対象とするか、といった点である。
フルバージョンは、ウェブを検索して結果をまとめるのに約17分かかったが、幾つかの具体的な例や、関連するテレビ番組や映画の便利なチャートを含む、詳細で綿密なレポートを提供した。一方、軽量バージョンは約8分しかかからなかったが、こちらは短い、いわばフルレポートの要約版のような詳細度の低いレポートだった。どちらのレポートも指定のトピックには対応しており、読んでいて興味深かったが、徹底さという点では、やはりフルバージョンの方が優れていた。

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Gemini
GeminiのDeep Researchモードは、有料ユーザーと無料ユーザーの両方が利用可能だ。有料ユーザーは通常、1日当たり20件のクエリーを実行できるが、この数は異なる場合がある。無料ユーザーは、1カ月当たり5件のクエリーに制限されている。この機能を試すには、Geminiのウェブサイトにアクセスするか、iOS/Android用のモバイルアプリを用意する。
Deep Researchを有効にするには、画面左上にある、現在使用しているモデルを一覧表示するドロップダウンメニューをクリックする。有料ユーザーは、「2.0 Flash」「2.5 Pro(preview)」「Deep Research with 2.5 Pro」などから選択できる。無料ユーザーは、2.0 FlashまたはDeep Researchのいずれかを選択できる。必要なモデルを選択すると、プロンプトフォームの下にDeep Researchのボタンが表示されるはずだ。プロンプトフォームに質問を入力し、Deep Researchのボタンがまだ強調表示されていない場合はそれを選択して、リクエストを送信する。

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タイムトラベルに関するクエリーを送信すると、GeminiのDeep Researchは、そのトピックにどのように取り組むかの計画概要を素早く生成してくれた。それを調整することも、そのまま承認することもできたが、今回は計画をそのまま承認した。すると、Geminiは調査のためにウェブにアクセスを開始した。
AIは、実行しているアクション、参照しているウェブサイト、そしてレポートの進行状況を示しながら、各ステップで状況を伝え続けてくれた。プロセス全体にかかった時間は約10分だった。
その結果得られたレポートは、非常に詳細で、徹底的で、かつ長いものだった。特に、議論された映画の例を含む表はとても気に入った。Geminiの文体は、あまり形式ばらず、読みごたえのあったChatGPTと比べると、やや学術的に感じた。それでもGeminiは十分にそのタスクを果たしていることが証明された。

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