職場での仕事を容易にしてくれる人工知能(AI)ツールはたくさんあるが、利用していると同僚から怠けていると思われるかもしれない。
デューク大学が資金提供した新たな研究は、職場ではAIが普及しているものの「社会的ペナルティー」を伴うことを示している。AIの利用者は能力や意欲について同僚からの否定的な評価に直面しているという。こうした影響は求職者にも及んでいる。
2024年秋の研究では、怠けているとか能力が劣っているとか思われるかもしれないため、従業員はAIの利用を上司に隠しているということが分かっていた。
この研究のために、研究チームは4400人を対象に4つの実験を実施した。そこから次のようなことが分かった。
- 生成AIツール(文書やコードなどのコンテンツを作成するツール)を利用している従業員は、生成AI以外のツール(システムの監視や画像の分析などを行うツール)を利用している従業員よりも否定的な評価を受けると予想している。
- AIによるサポートが人の能力に匹敵していても、AI利用者は実際に勤勉や能力、自主性のような分野で否定的な目で見られたため、この予想は妥当だ。
- AIを利用していることを明らかにすると、そもそも就職できる可能性が減る恐れがある。採用のシミュレーションで、AIを普段から利用している管理者は、AIを利用している応募者を受け入れやすく、AIを利用していない管理者は、AIを利用している応募者を採用する可能性が低かった。
- 従業員がAI利用を明言し、これがおそらく最も重要なことだが、上司自身もAIを利用していれば、業務に役立っている場合はAI利用に伴う不利益はなくなる。
要するに、他者の受け止め方次第で職場へのAI導入がちょっとした障害に阻まれるかもしれないことを、この研究結果は示しているようだ。人々は、AIが役立つことを知っているが、利用には慎重な姿勢を見せている。研究の対象者の性別や年齢、職業はさまざまだったが、どの層もAIについて同じ感情を抱いていた。

提供:ferrantraite/Getty Images
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。