NECは、コンタクトセンターにおける顧客体験(CX)と従業員体験(EX)の向上を目指す、生成AI活用ソリューション「NEC Communication Agent」を、5月から提供開始すると発表した。
NEC Communication Agentは、多数の導入実績を持つNEC製のチャットボットに、電話の自動応答機能を統合し、大規模言語モデル(LLM)による回答生成の高度化を実現する。また、第1弾として提供されている「NEC Speech Analysis Platform」とも連携しており、対話履歴をコミュニケーターが確認することで、顧客対応の質向上や課題解決につなげられる。電話の音声基盤としては、NEC製PBXに加え、導入実績の多いジェネシスクラウドサービスの「Genesys Cloud」とも連携可能となっている。

「NEC Communication Agent」と「NEC Speech Analysis Platform」の連携イメージ
近年、コンタクトセンターには、顧客からの問い合わせチャネルの多様化に伴う24時間の迅速な対応や、コミュニケーターの人材不足、高い離職率といった課題が山積している。NECはこれらの課題解決のため、NEC Communication Agentを開発した。
同サービスを導入することで、コンタクトセンターには複数の効果が期待できる。まず、AIによる24時間体制の迅速な対応と個別最適化された情報提供により、顧客は問い合わせ時間にかかわらずスムーズに疑問を解決できる。次に、AIが定型的な問い合わせに自動応答することで、コミュニケーターはより複雑な案件対応や丁寧なサポートに注力できるようになり、業務の質と効率が高まる。これはコミュニケーターのEX向上や働き方改革にも寄与する。さらに、業務効率化による運営コストの最適化が実現し、収益性向上にもつながるという。
同サービスは、LLMを活用したAIチャットボットおよびボイスボットを中核とし、回答の自動生成、ナレッジ検索、既存システムとの連携など、コンタクトセンターに必要な機能を包括的に提供する。顧客は電話、ウェブチャット、SNSなど多様なチャネルから問い合わせが可能で、24時間のAIサポートを受けられる。また、上流コンサルティングからCRM、電話音声基盤を含むインフラ構築、運用までをワンストップで支援する体制を整えている。
特に、生成AIを活用することで、顧客の意図を正確に理解し、自然で柔軟な問い合わせ対応を実現する。NEC独自の対話制御機能により、生成AI特有の誤回答(ハルシネーション)を抑制し、高い回答精度を確保している。LLMとしては、NEC開発の「cotomi」や「Azure OpenAI Service」を選択できる。
電話対応においては、日本語に特化したNEC独自の高精度音声認識エンジンを搭載しており、高品質な文字起こしを通じてAIの応答精度を高める。対応チャネルは電話やウェブチャットに加え、「Microsoft Teams」「Slack」「LINE」など多岐にわたり、顧客は利用シーンに応じて最適なチャネルを選択できる。

NEC Communication Agentの概要
利用価格は、「NEC Communication Agent(テキスト)」が年間288万円から。また「NEC Communication Agent(ボイス)」が年間420万円から、「NEC Communication Agent(テキスト&ボイス)」が年間540万円からとなっており、別途初期費用や環境構築費用が必要となる。
NECは今後、問い合わせ対応だけでなく、さまざまな業務ユースケースでの利用機能も提供していく予定だ。