双日は5月14日、IT機器の買い取りやリサイクルなどの一括見積もりを行う法人向けサービス「Hi-kii」(ハイキー)を発表した。利用法人と同社認定事業者を仲介し、利用者から引き取るIT機器のデータ消去証明書も発行する。

「Hi-kii」サービスの概要
新サービスは、国内に所在する法人組織のPCやサーバー、ストレージ、ネットワーク機器、タブレット端末、スマートフォンなどIT機器資産を対象(リースなどは対象外)として、買い取りやデータ消去における一括見積もり、事業者比較、選定、契約、回収までができる。利用料は無料で、対象台数は1台以上。双日では、主に中小組織の利用を見込んでいる。
対象機器のデータ消去は、利用者が選定した事業者の方法を用いるが、米国立標準技術研究所(NIST)の「SP800-88」に基づく方法を使用するとのこと。また、見積もり依頼時に、別のデータ消去方法や物理破壊などを選択できるメニューも用意している。
同日の発表会に登壇した双日 金属・資源・リサイクル本部 金属製品・リサイクル事業部長の奥町健氏は、「都市鉱山」と呼ばれる廃棄されるIT機器に含まれた希少な金属が新たな資源調達先として期待され、金属資源循環事業を推進する一環として、今回のサービスを開始すると説明した。

双日 金属・資源・リサイクル本部 金属製品・リサイクル事業部長の奥町健氏
同社は、金属資源循環ビジネスの中で、2021年に中古IT資産(ITAD)事業者のTES-AMM JAPAN、2023年にはJX金属と共同でカナダのeCycle Solutionsにそれぞれ出資しており、金属資源循環におけるIT機器資産のリユースやリサイクル、セキュリティ(適切なデータ消去)に関する知見やノウハウを蓄積してきたという。
また、新サービスの背景について金属製品・リサイクル事業部 金属資源循環課長の安田拓正氏は、特に中小組織では担当者が総務や情報システムなどを兼務して多忙であり、適切なIT機器の廃棄に課題を抱えることが多いと指摘した。

双日 金属・資源・リサイクル本部 金属製品・リサイクル事業部 金属資源循環課長の安田拓正氏
実際に、不適切な方法で機器のデータ消去を行ったものの実際には復元可能な状態で廃棄してしまったり、不適切な事業者を選定してしまい、そこからデータ漏えいが発生したりといったトラブルや事件が国内外で発生している。
安田氏によれば、新サービスに参加する事業者について、監視カメラなどのセキュリティ対策が講じられているか、回収から入庫、データ消去、出庫までの業務プロセスが適切に実施されているか、数量確認や盗難防止などの管理が適切に行われているかといった項目などを審査して、登録を行っているという。まずは、新サービスの試行時から参加する5つの事業者が利用者の見積もり依頼に対応し、今後順次拡充していくという。
サービスの利用は、まず見積もり依頼時にユーザー情報(法人名称や連絡先など)や廃棄したいIT機器とその資産の管理ファイル、希望する引き渡し場所や時期などを登録する。見積もり依頼に応じた事業者が買い取り金額などの見積もりを利用者に提示し、複数の場合は比較できる。利用者は提示された見積もりから事業者を選定して契約を行い、回収となる。なお、利用者と事業者の契約では、双日が同サービスで用意する標準的な形式や利用者独自のものを利用できるとしている。

IT機器廃棄での課題と「Hi-kii」の狙い
安田氏は、サービスの試行で十数社の企業が利用し、満足感のある買い取り金額の提示や、双日が事業者を選定していることの安心感、データ消去証明書の分かりやすさといった評価があったとした。10月14日にサポートが終了(EOS)する「Windows 10」搭載PCの廃棄増が予想され、新サービスではその廃棄需要への対応も見据えていると説明した。
(※記事内容の変更:利用者と事業者の契約に関する記述につきまして正確、簡潔となるよう初出時より変更しています。)