ソフトウェアテストソリューションを提供するTricentis Japanは、ソフトウェア品質に関する調査報告書「クオリティ・トランスフォーメーション・レポート2025」を発表した。ソフトウェア開発者らが生成AIに期待しているのは品質よりもデリバリースピードであるなどの実態が分かったとしている。
調査は、世界10カ国の公共、エネルギー/公益事業、製造、金融など5業種の組織に在籍する最高情報責任者(CIO)や最高技術責任者(CTO)、エンジニアリング担当バイスプレジデント、DevOps/品質保証のリーダー、ソフトウェア開発者らを対象に行い、2750人から回答を得た。
報告書によると、生成AIの活用で回答者が期待しているのは、「デリバリースピードの向上」(45%)が多く、「ソフトウェア品質の向上」は13%だった。このうち日本は、デリバリースピードの期待が40%だった一方、品質向上は7%にとどまり、世界平均よりも品質への期待が低いことが判明した。
さらに63%(日本62%)は、コード変更を完全にテストすることなくソフトウェア製品を出荷していた。理由では、「テストによるリリースサイクル遅延を回避するため」が46%(日本49%)、「偶発的に未テストのコードが含まれるから」が40%(日本32%)となっている。
回答者の42%は、ソフトウェアの品質低下により年間数百万ドル規模の損失が生じているとした。特に金融では顕著だったといい、日本の金融企業の約半数は、年間損失額を1億5000億円から7億4000万円以上と推定していた。
回答者が抱える課題には、「開発チームと品質保証チーム間のコミュニケーション不足」(33%、日本36%)、「経営陣と開発チームの連携不足」(28%、日本27%)が挙げられた。
AIエージェントへの期待は高いことが分かった。ソフトウェア開発ライフサイクルで単調な作業をAIエージェントに任せることでより戦略的な業務に注力できると期待する回答者は82%(日本89%)に上った。さらに「品質とデリバリースピードの向上に役立つ」と期待する回答者も84%(日本85%)に上る。
また生成AIについては、ソフトウェア開発ライフサイクルの中で費用対効果を効果的に定量化する方法として期待する回答者が90%(日本93%)だった。
AIを活用した自律的なソフトウェアテストについては、回答者のほぼ全員(99.89%)が期待しているという。具体的には、デリバリー全体のスピード(28%、日本31%)、全体的品質(28%、日本30%)、テスト結果の分析(25%、日本25%)、テストケースのメンテナンス(23%、日本25%)だった。