松岡功の「今週の明言」

社名変更して3年たった「BIPROGY」の定着度は?--齊藤社長に聞いてみた

松岡功

2025-05-16 10:00

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、BIPROGY 代表取締役社長の齊藤昇氏と、日立製作所 AI CoE GenerativeAIセンター 本部長 兼 デジタルシステム&サービスセクター Chief AI Transformation Officerの吉田順氏の「明言」を紹介する。

「BIPROGYという社名になって3年たち、かなり定着したと感じている」
(BIPROGY 代表取締役社長の齊藤昇氏)

BIPROGY 代表取締役社長の齊藤昇氏
BIPROGY 代表取締役社長の齊藤昇氏

 BIPROGY(ビプロジー)の齊藤氏は、同社が先頃開いた2024年度(2025年3月期)決算概要および経営方針進捗(しんちょく)についての記者説明会の質疑応答で、社名変更して3年がたったところでの定着感を聞いた筆者の質問に、上記のように答えた。予想した答えだが、その表情には確かな手応えが感じられた。また、それを受けて「BIPROGYが世の中からどのような代名詞で呼ばれる会社になりたいか」とも問うてみた。その答えにも確固たる意志を感じたので、明言として取り上げた。

 同社の2024年度連結業績は、売上高に相当する売上収益が前年度比9.2%増の4040億円、営業利益が同17.4%増の391億円だった。齊藤氏はこの結果について、「売上収益は旺盛なIT需要を背景に増収、営業利益は売上総利益の増加が販売管理費の増加を吸収し増益となった。いずれも予想値を大きく上回った」と述べた。

 この連結業績を事業分野別に示したのが、表1である。事業分野ごとの動向については表の右側に記されているので参照していただきたい。 同社はシステムインテグレーション(SI)を中心としたITサービスベンダーで、アウトソーシングを一定の割合で手掛けていることも特徴といえる。

(表1)2024年度連結業績:事業分野別(出典:BIPROGYの決算発表資料)
(表1)2024年度連結業績:事業分野別(出典:BIPROGYの決算発表資料)

 こうした好調な推移を踏まえて、2025年度(2026年3月期)連結業績は、売上収益で前年度比4.0%増の4200億円、営業利益で同9.0%増の426億円を見込んでいる(表2)。

(表2)2025年度連結業績予想(出典:BIPROGYの決算発表資料)
(表2)2025年度連結業績予想(出典:BIPROGYの決算発表資料)

 齊藤氏はこの見通しについて、「活況なIT需要を背景に、サービス、製品販売ともに拡大を見込み、増収増益を計画している。将来の成長に向けた投資強化の一方で、サービスの収益性改善による営業利益率の向上を図っていく」と述べた。

 なお、同社では2024年度から2026年度(2027年3月期)までの3カ年の経営方針において、2026年度の売上収益の見通しを4200億円としていたが、これを2025年度に見込む形で1年前倒しとなったので、2026年度の売上収益は4400億円に上方修正した。

 こうした好調な業績の推移の中ではあまり過去を振り返らないでもいいかもしれないが、これまでいろいろ関わってきた筆者の思いもあり、会見の質疑応答で「BIPROGYという社名は2022年4月に日本ユニシスから変更して3年になるが、定着したか」と聞いてみた。すると、齊藤氏は次のように答えた。

 「社名を変更した当初は、BIPROGYと名乗っても『何の会社か』と言われたが、今ではそんなことはなくなった。お客さまからも『新しい社名は定着したね』と言っていただけるようになった。私としてはかなり定着したと感じている」

 その上で、「BIPROGYの現在の代名詞は日本ユニシス時代から変わらず、システムインテグレーター(SIer)あるいはITサービスベンダーだが、これからのBIPROGYは世の中からどのような代名詞で呼ばれる会社になりたいか」と聞いてみた。これに対し、同氏は次のように答えた。

 「当社グループは目指す姿として『Vision2030』を掲げている。その表現をもとに代名詞にすると『社会課題、企業課題を解決するベストパートナー』だ。そう見られる会社になっていきたい」

 「ベストパートナー」という言葉がミソだ。齊藤氏の確固たる意志を感じることができたやりとりだった。

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