Amazon Web Services(AWS)が発表した調査によると、回答者の92%が生成AIの専門知識を持つ人材を新しい役割で採用する予定だと答えた。また、回答者の26%は組織内の新しいポジションの少なくとも半分で生成AIスキルが必要になると予測している。
この調査は、金融サービス、情報通信技術(IT)、製造業、小売業などの業界で3739人の上級IT意思決定者を対象に実施された。対象地域は、米国、ブラジル、カナダ、フランス、ドイツ、インド、日本、韓国、英国の9カ国。
一部の業界は、AI人材の採用に対してより積極的なアプローチを取っている。IT分野では、組織の35%が新しい役割の少なくとも半分に生成AIスキルを主要な要件とする計画だ。製造業でも、28%の組織が同様の意向を示している。
また、回答者の少なくとも60%が、自社ですでにChief AI Officer(最高AI責任者、CAIO)を任命していると報告しており、さらに26%は2026年までに任命を計画している。こうしたリーダーシップのポジションは大組織に限られると思われがちだが、調査対象となった企業の64%は従業員数が250人未満だった。このことから、多くのAIリーダーシップの役割が他の職務を兼任している可能性が高いと考えられる。
調査の著者らは、「AIリーダーシップは今後極めて重要となるだろう。CAIOは統合、リスク管理、価値創造を監督するために最高幹部に加えられている」と述べる。「業界全体で生成AIの普及が進む中、企業は増大するAIリーダーシップの需要に対応しようとしている。これにより、企業全体で生成AIを活用した変革が進むだけでなく、AIスキルを持つ従業員には新たなキャリアの機会が生まれる」
スキルと同様にデータも課題であり、AIリーダーは多くの作業を抱えている。過去1年間で、生成AIの実験は平均45回に上ったが、運用段階に進むと期待されたのは平均20回(44%)にとどまっているのが現状だ。
人材不足とクリーンなデータの必要性が潜在的な障害となっている。生成AIを実験する組織の55%が、熟練した人材の不足が実験を運用段階に移行させる最大の障壁だと答えた。他の主要な障害としては、開発コストの高さ(48%)やバイアスやハルシネーション(幻覚)の問題(40%)が挙げられる。
企業は、生成AIの人材不足を解消するために、スキルアップと採用に注力している。実際、56%の組織がすでに生成AIのトレーニング計画を策定しており、さらに19%が2025年中に策定する予定だ。しかし、回答者の約半数は、従業員の生成AIトレーニングニーズを十分に理解していないと答えており、これがしっかりとした学習・開発計画の作成を妨げる要因となっている。
IT意思決定者の45%が、2025年の最優先予算として生成AIツールを選んでおり、これはセキュリティツール(30%)など他のIT支出を上回っている。一方、コンピュート能力の強化を重視しているのはわずか13%にとどまっている。
生成AIソリューションを導入する際、統合の容易さは多くの組織にとって重要な基準である。規制が厳しく、コンプライアンス要件が厳しい環境で働くITリーダーは、高度な機能(56%)と強固なプライバシーおよびセキュリティ機能(48%)も重視している。また、チェンジマネジメントも重要な課題であり、2026年になっても約4分の1の組織が正式な変革戦略を欠いていると予測される。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。