日立システムズは5月19日、水道設備の異常予兆をAIで事前検知する「AI異常検知サービス」の提供を開始した。同社が提供する「CYDEEN 水インフラ監視サービス」の新たなオプションとして利用できる。
AI異常検知サービスの導入は、地域住民にとっては水道事故による突発的かつ長時間の断水といった影響を減らすことにつながり、水道局員にとっては復旧作業の負担軽減やメンテナンス作業の効率化といったメリットをもたらす。

AI異常検知サービスの利用イメージ
日本の上下水道の配水管は、高度経済成長期に整備されたものが多く、老朽化が進んでいる。日立システムズによれば、近年、水道管の破損事故は増加傾向にあり、年間2万件以上の漏水・破損事故が発生しているという。これに対し、給水人口の減少による水道事業の経営悪化や人手不足、維持管理の難しさといった課題から、メンテナンス作業の効率化と精度向上が急務となっている。
今回提供が開始されたAI異常検知サービスは、CYDEEN 水インフラ監視サービスを通じて、住民の生活圏に近い配水管に設置されたセンサーから取得される水圧や流量といったリアルタイムなIoTデータを活用する。AIが過去一定期間のデータを分析し、正常時に取り得る基準値を生成。その基準値とリアルタイムデータを比較・分析することで、基準値からの逸脱度を可視化し、配水状態の微細な変化を捉えて異常を検知する。これにより、水道管破裂のような大きな事故が発生する前に、水道設備の早期メンテナンスが可能となる。
同サービスは、2024年10月に日立システムズが神戸市水道局と共同で行った、AI分析を活用した、配水減圧弁の故障予兆検知に関する研究成果をもとにサービス化された。日立システムズは2023年7月より神戸市水道局に対し、「CYDEEN 水インフラ監視サービス」の水圧監視システムを導入しており、市内60カ所以上にわたる、配水減圧弁付近の水圧データの提供・運用を支援してきた経緯がある。