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マイクロソフト、分析プラットフォーム「Fabric」のデータ統合やAIエージェントを拡充

Tiernan Ray (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2025-05-20 14:24

 Microsoftは、米国時間5月19日から開催の年次開発者会議「Build 2025」で、エンドツーエンドの統合分析プラットフォーム「Fabric」の新たな機能を発表した。同社のデータベース、レポート、AI機能が成熟し、個々の提供サービスがより統合されるようになったことを示している。

 Fabricに新たに搭載された機能は多岐にわたる。まず、「Microsoft Fabric Real-Time Intelligence」のデジタルツインビルダーは、プログラミングの知識がないユーザーでもデジタルツインシミュレーションを自動で構築できる。また、組み込みの「Copilot」を用いて、自然言語でデータダッシュボードを作成可能となった。加えて、NoSQLデータベース「Cosmos DB」との連携により、「半構造化」データをFabricに取り込む機能も追加された。

 加えて、「OneLake」リポジトリーから「Copilot Studio」にデータを送信するエージェントサービスや、レポートを活用して複数段階のタスクを実行するワークフローを自動的に起動する機能も特筆すべき点である。

 現在パブリックプレビュー版として提供されているデジタルツインビルダーについて、Microsoftは、デジタルツイン構築における「断片化されたデータソース、一貫性のないデータ品質、ガバナンスとセキュリティにおける課題」といった障壁を克服することを目指していると説明している。

 デジタルツインとは、人体の臓器から航空機に至るまで、実世界の物体をシミュレーションする手法であり、その活用は拡大の一途をたどっている。この技術により、臓器が薬剤から受ける影響を予測したり、重機の部品の故障を事前に察知したりできるようになる。

 このビルダーツールは、4つの機能で構成されている。モデリング機能は、現実世界の事物をデジタルで再現するための共通構造を構築する役割を担う。マッピング機能は、現実の物体とそれに対応するデジタルレプリカが正確にひも付けられることを保証する。これらの関係性は、リレーションシップ機能を通じて、意味的なつながりを持つ「セマンティックなリレーションシップと依存関係」として拡張される。そしてエクステンション機能により、完成したデジタルツインに対して分析機能、視覚化機能、AI技術を適用可能となる。

 この技術を先行して導入した企業の1つが、フロリダ州ジャクソンビルに本社を置く米国の鉄道貨物大手CSX Corporationである。同社の発表によれば、このツインビルダーが持つ、現実世界とシミュレーション世界をひも付ける「オントロジー」を生成する機能は、機関車の仕様(貨物タイプ、重量など)や列車路線の属性(始点、終点、駅など)といった、「重要なメタデータ」を統合するために活用されたという。

提供:Microsoft
提供:Microsoft

 Microsoftによると、生成AIの組み込みについて、特に「Fabric with Copilot」という機能を通じて、生成AIをシステムに取り入れることを目指しているという。このツールを使うことで、利用者は「データフロー(データの流れ)の作成」や「プログラムコードの自動生成」ができるようになる。さらに、「Power BIレポート(データ分析結果をまとめた資料)の内容をより深く理解するための質問」をすることも可能になる。

 「Fabric Data Agents」と呼ばれるエージェントサービスは、近くパブリックプレビューが開始される予定である。これは、Copilot Studioで開発されたカスタムAIエージェントへの接続を主な目的としている。Microsoftの説明によれば、Copilot Studioエージェントは、「OneLake」からデータを取得し、メール送信などのワークフローも開始でき、それにより「プロセスを自動化し、ユーザーがデータと容易にやりとりし、チャット環境を離れることなくタスクを効率的に処理する」としている。

提供:Elyse Betters Picaro / ZDNET
提供:Elyse Betters Picaro / ZDNET

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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