「GPT-4.1」とは何か--「ChatGPT」有料版で提供開始された新モデルの特徴

David Gewirtz (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル

2025-05-21 07:00

 OpenAIが「ChatGPT」の「Plus」「Team」「Pro」プランのユーザー向けに「GPT-4.1」の提供を開始した。GPT-4.1はこれまでAPIのユーザーしか利用できなかった。さて、専門用語を大量に並べたので、少し時間を取って、これらの用語を解説したいと思う。

  • GPT-4.1は大規模言語モデル(LLM)だ。AIの実際のコードであり、自動車のエンジンのようなものと考えればいい。強力なエンジンほど馬力はあるだろうが、それほど強力ではなくても自動車は動かせる。GPTの各バージョンは、それぞれ性能が異なるAIモデルを表しており、高性能なものもあれば、比較的性能が低いものもある
  • ChatGPTはチャットインターフェースだ。このソフトウェアがユーザーのプロンプトを受け取って、LLMに送信し、結果を表示する。先ほどの例えでは、ChatGPTが自動車で、GPT-4.1(または「GPT-4o」「GPT-3.5」)がエンジンということになる。
  • API(アプリケーションプログラミングインターフェース)は、プログラムが他のプログラムと通信する仕組みだ。GPTの場合は、多数の企業のプログラムがAPIによってLLMを呼び出して、結果を取得する。非常に大まかに例えるなら、自動車のダッシュボードとエンジンをつなぐワイヤーハーネスだ。
  • OpenAIは、GPTとチャットボットを開発する企業だ。Fordのようなものだろう。Fordは自動車を製造するだけでなく、非常に高速なクレートエンジンを他社に販売している。購入した企業は、カスタマイズした自動車にFordのエンジンを組み込む。同様に、OpenAIはChatGPTを開発するだけでなく、LLMのライセンスを開発者に提供して、AIを自分で一から開発しなくても利用できるようにしている。

 これで専門用語の意味が分かったと思う。OpenAIが4月にGPT-4.1をリリースしたときは、開発者がAPI経由で使用できる状態だった。これを例えるなら、Fordが新しいエンジンを発表したものの、カスタムカーを作る技術者に限定販売するようなものだ。

 OpenAIは今回、ChatGPTで使用できるGPT-4.1をリリースした。Fordの例でいうなら、新しい「Mustang」を購入する顧客向けに、エンジンをアップグレードオプションとして販売するようなものだろう。

 Plus、Pro、TeamプランはChatGPTの有料版で、通常は無料版よりも優れた機能を提供し、より多くの用途に使用できる。残念ながら、これについては自動車関連であまり良い例えが思い浮かばない。大量購入する大口顧客にのみ、自動車の何らかの機能を提供する、といったところだろうか(かなり無理があるが)。

GPTのバージョンを理解する

 簡単に答えるなら、GPT-4.1はGPTの新しい改良版であり、広く使用されている「GPT-4o」よりも高性能なバージョンだ。

 では、少々いいだろうか。頭が痛くなるような話をする。筆者はもう頭痛がしているので、この「楽しみ」をともに味わってもらいたい。

 最初は「GPT-1」で、次は「GPT-2」だった。ここまでは分かる。だが、OpenAIがその後にリリースしたGPTの名称は、「GPT-3.5」「GPT-3.5 Turbo」「GPT-4 Turbo」「GPT-4o」「GPT-4o mini」「o1」「o1-mini」(ダッシュが付いて「m」は小文字)、「o1 pro」(ダッシュなし)、「o3-mini」「o3-mini-high」「GPT-4.5」「GPT-4.1」(どういうわけかGPT-4.5よりも新しい)、「o3」「o4-mini」「o4-mini-high」だった。これだけ挙げれば十分だろう。

 OpenAIに真剣に聞きたい。一体何を考えているのか。

 あるGPTが他と比べてどうなのかを、バージョン番号から理解しようとしても無駄だ。この狂気じみたバージョン番号には、OpenAI社内に何らかの法則があるのだろうが、それについて考えても頭が痛くなるだけで、有益な情報は得られない。実際のところ、使用される計算能力や解決できる問題の規模には大きな違いがあるが、そのような差異を気にするのは、主にOpenAIを従量課金制で利用しているプログラマーだ。

 チャットユーザーの場合は、各バージョンが自動車のモデル名で、それぞれ独自の特徴を持つと考えれば分かりやすいと思う。

 今回主に取り上げるのは、GPT-4oとGPT-4.1の2つのモデルだ。GPT-4oは、完全にマルチモーダル(テキスト、画像、音声の入出力が可能)なGPTバージョンであり、ChatGPTの有料ユーザーの間では約1年にわたり主流となっている。無料ユーザーもGPT-4oを使用しているが、制限がある(例えば、無料ユーザーはChatGPTに画像の生成を依頼できない)。

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