トランスフォーメーションの破壊者:インテントAI

インテントAIが変えるペットとの共生の形--産業とロボティクスの未来

松永 エリック・匡史

2025-07-02 06:00

 「なぜこの子だったのか」を説明できる時代へ――ペットと暮らすという営みは、これまで一時の感情によって選ばれてきました。「一目ぼれだった」「なんとなく引かれた」「目が一緒に帰ろうと訴えかけてきた」。それは、偶然に見える出会いでありながら、実は人間の深層的な欲求やライフステージの変化と深く結び付いています。

 もしそこに、「インテントAI」が関わったとしたら、どうなるでしょうか。

“あなたがこの柴犬を選んだのは、昨年から感じていた孤独感と、仕事における責任の重さが背景にあります。彼の穏やかな性格と朝型の生活スタイルが、あなたのストレスレベルと相性が良いのです”

 そんなふうに、「なぜこのペットなのか」を言語化できるAIが登場したならば、ペット選びは単なる感覚ではなく、深層のインテント(意図)に基づく、意味のあるマッチングへと進化するのではないでしょうか。

 これは単なる利便性の話ではありません。人と動物との共生の在り方を根本から変える可能性を秘めています。

「インテントAI×ペットテック」は心の声を可視化するパートナーへ

 ペット業界では、既に「ペットテック」という分野が進化を遂げています。AI給餌器、体調モニタリング首輪、遠隔カメラ――しかし、それらの多くは、「モノ」としての進化にとどまっています。

 インテントAIが加わることで、ペットとの関係性は新たなステージに進むことになります。例えば、以下のような世界が現実になるかもしれません。

  • 飼い主のストレスや感情の変化をAIが感知し、ペットとのふれあいを最適化するタイミングを提示してくれる
  • ペットが不調な時、AIが環境設定(照明、音、温度)を自動調整し、必要に応じて飼い主に通知を送ってくれる
  • お互いの心身状態を可視化し、共により健やかに生きるためのガイドをAIが日々提示してくれる

 ペットが癒やしをくれる存在であるだけでなく、飼い主との関係性そのものが双方向的なエモーショナルエコシステムとして形成されます。そんな時代が、すぐそこまで来ています。

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