Googleは米国時間5月20日から年次開発者会議「Google I/O 2025」を開催している。ここ数年はAIが中心となっていたが、2025年も例外ではない。同社は、自社の主要製品に新たなAI機能を発表する場として、これまでに発表されたAI実験の成果も披露した。
Google I/O 2025では、数十ものAI機能とツールが発表された。これらの機能は、Googleが提供するサービスの利用方法、例えば買い物、ビデオ通話、受信トレイの整理、ウェブ検索、画像の作成、ビデオの編集、コーディングなどを変革することを目指している。
ここでは、一般的なAIユーザーとして注目すべき8つの機能を選び出した。これらの機能は、ワークフローや生活をすぐに楽にするか、あるいは大きな変革をもたらす可能性を示している。
受信トレイのクリーンアップ
発表された全てのAI機能の中で、受信トレイのクリーンアップは、おそらくもっとも地味な機能の一つであり、ニュースの混乱の中で見落とされがちである。しかし、これは実用的な問題を解決する非常に便利なものである。特定の条件に合致するメールを一括削除できたら、と思ったことは何度もあるだろう。
新しい受信トレイのクリーンアップ機能は、会話形式のプロンプトを使ってGeminiに受信トレイの整理を依頼するだけでよい。Googleは「The Groomed Pawから昨年送られてきた未読メールを全て削除して」という例を挙げたが、Geminiはそれを数秒で処理するという。
エージェント型ショッピング
お得な買い物が好きな人にとって、「buy for me」機能は最高の味方となるだろう。ユーザーはまもなく、AI Modeの新しいエージェント型チェックアウト機能を使って、商品リスト内の価格を追跡し、希望する購入金額を設定できるようになる。buy for meオプションを選択すると、指定した価格まで商品が下がった際に、「Google Pay」を使って注文できる。
この機能は、ブラックフライデーや祝日、誕生日、あるいは衝動買いなど、大規模なセールイベントで特に役立つだろう。なぜなら、購入したいと思っていても、特定の価格まで下がらないと決断できないような場合があるからだ。
Gemini Liveのアクセス無料化
AI音声アシスタントの大きな特徴の1つは、マルチモーダルであることだ。これにより、会話形式でユーザーと話す音声アシスタントが、周囲の状況を文脈として理解し、さらなる支援を提供できるようになる。Googleは、「Android」と「iOS」の両方で、カメラと画面共有機能を備えた「Gemini Live」を誰でも無料で利用できるようにして、この優位性をさらに高めている。
筆者はこれまで、日常業務でChatGPTの「Advanced Voice Mode」(OpenAIのGemini Liveに相当)がいかに役立つかを述べてきた。しかしながら、無料ユーザーはこの機能を利用できず、月額20ドルの「ChatGPT Plus」が必要となる。
全ユーザー向けのAI Mode
Google I/Oでは、Googleの検索実験であるAI Modeに大きな焦点が当てられた。これは、従来の検索とチャットボットの会話形式の性質を組み合わせたものである。幾つかのアップデートは非常に有望であり、その中には、「Gemini 2.0」を基盤とした研究プロトタイプである「Project Mariner」の統合も含まれていた。これにより、ブラウザーでのタスクが自動化され、ユーザーに代わってチケットの購入や予約ができるようになる。
興味深いのは、単に派手な機能だけでなく、GoogleがAI Modeを試験的な「Labs」段階から出して、全てのユーザーが利用できるようにした点である。これは、Googleがユーザーにこの機能を積極的に使ってほしいと考えていることを示唆している。さらにGoogleは、ユーザーからのフィードバックを基に、AI Modeの機能と能力をGoogle検索の「AI Overviews」機能の中核に組み込むと述べている。筆者はこのことから、Google検索の在り方が今後大きく変わると考えている。