アトラシアンは5月20日、都内で年次カンファレンス「Team on Tour Tokyo 2025」を開催した。8回目となるカンファレンスは「AIと創る『明日の働き方』」をテーマに、組織のあらゆるチームの可能性を引き出す同社の最新の取り組みを紹介し、会場は多数の参加者でにぎわった。

アトラシアン 代表取締役社長のStuart Harrington氏
基調講演では、まず代表取締役社長のStuart Harrington氏があいさつに立ち、同社のキーメッセージである「あらゆるチームの可能性を解き放つ」に触れながら、「チームの力を最大化させる方法を(顧客やパートナーらと)一緒に考えてみたい。AIによりどのような働き方を創造していけるのかをご紹介したい」と語った。

Atlassian 最高収益責任者のBrian Duffy氏
また、Atlassian 最高収益責任者(CRO)のBrian Duffy氏は、グローバルで約30万社の顧客が、Atlassianのプラットフォームやツールを活用して組織のあらゆるチームの能力を解き放ち、彼らの目標実現に取り組んでいるとコメント。特に2024年は、プロジェクト管理の「Jira」やナレッジ共有の「Confluence」の拡大、新たなAIプラットフォームの「Rovo」の提供など、同社にとって大きな一年だったとし、同社が企業・組織のイノベーションを支える存在として各種調査でも市場で高く評価されているとした。
Atlassianは、キーメッセージと並んで2024年から「System of Work」を提唱している。Jira 製品責任者のDave Meyer氏は、これは20年以上にわたり同社のテクノロジーチームとビジネスチームが一緒になる働き方の“哲学”だと説明し、組織のサイロを取り除いて、さまざまなチームが共通の目標に一丸となって歩みを進めていくものになる。

「System of Work」を実現するAtlassianのプラットフォーム
同社では、そのためにJiraやConfluenceなどをクラウドベースの「Atlassian Cloud Platform」として再構築している。そして、JiraやConfluenceなどを活用してチームやメンバーの取り組みや経験、ノウハウ、知識、情報など約100億件ものオブジェクトデータを蓄積する情報基盤の「Teamwork Graph」がある。チームとメンバーは、Atlassian Cloud PlatformとTeamwork Graphによって真のコラボレーションを実現でき、さらにチームの能力を最大限に引き出すのが、コアアプリケーション群の「Platform Apps」やRovoになるとした。

Atlassian Jira 製品責任者のDave Meyer氏
2024年に発表したRovoは、エンタープライズ検索の「Search」、生成AIチャットボットの「Chat」、AIエージェントの「Agent」、AIエージェント作成・管理の「Studio」、50種類以上のサードパーティー連携コネクターを備え、JiraやConfluenceなどにも組み込まれている。チームとメンバーは、Rovoの活用を通じてコラボレーションやタスクをシームレスに実行でき、共通の目標実現に向けて生産性に優れた働き方を実践していける。

チームの能力をさらに引き出すためのAI基盤の「Rovo」
基調講演の後半でMeyer氏は、4月のグローバルでの年次カンファレンス「Team'25」で発表したRevoの最新機能や、ビジュアルコラボレーションツールの「Loom」の活用、JiraおよびConfluence、Loom、RovoのAgentを組み合わせたSystem of Workを実現するための「Atlassian Teamwork Collection」、組織目標達成のための戦略および実行、予算や人材リソースをマネジメントするための「Strategy Collection」、ITサービス管理(ITSM)の「Jira Service Management」の進化、エンタープライズサービス管理を可能にする「Customer Service Management」などを、デモンストレーションを交えながら紹介した。
Atlassianは、現最高経営責任者(CEO)のMike Cannon Brookes氏と、同氏と共同CEOを務めたScott Farquhar氏が2002年にオーストラリアで創業した。Meyer氏は、同国から地理的、物理的に遠く離れたさまざまな場所にいるテクノロジーやビジネスのチーム、メンバーが優れたコラボレーションを実現すべく積み重ねてきた経験や知見がAtlassianの中心にあり、それらに基づく価値を「System of Work」として、顧客に提供していくことこそが同社の存在意義であると参加者に呼び掛けた。