デジタル運用管理製品を提供するPagerDutyは、5月21日、Amazon Web Services(AWS)とのグローバルな戦略的協業契約(SCA)を更新したと発表した。この提携により、PagerDutyは自社の「PagerDuty Operations Cloud」において、AWSの先進的な生成AIサービスを活用し、IT運用における障害検知と復旧プロセスのさらなる高度化が可能になる。両社の連携は10年以上にわたり、今回の更新によってその関係がさらに強化される。
PagerDuty Operations Cloudは、AIを活用してインシデント管理のライフサイクル全体を自動化・統合するプラットフォーム。異常検知から診断、適切な担当者の動員、そしてシステム運用全体の最適化までを一貫して支援し、収益損失や企業ブランドへの悪影響を最小限に抑える。
過去10年以上にわたるPagerDutyとAWSの主な協業実績としては、2013年の協業開始以来、現在までに6000社以上の共通の顧客へのサービス提供、2022年からの「AWS Systems Manager」の機能「Incident Manager」とPagerDutyの連携などがある。また2024年には、AIアシスタント機能を持つ「PagerDuty Advance」および「Amazon Q Business」、多様な基盤モデルへのアクセスを可能にする「Amazon Bedrock」、コンテンツフィルタリング機能を持つ「Amazon Bedrock Guardrails」などが提携した。これによりインシデント管理プロセスへの生成AIの安全な活用支援などが進められている。
今回のSCA更新により、AWSの先進的な生成AIサービスとセキュリティ機能が、PagerDuty Operations Cloudに統合された。金融、製造、旅行・ホスピタリティーといった主要業界において、運用効率の向上と障害復旧の強化が期待される。また2024年には、Amazon Q Businessの機能「Amazon Q index」との統合が発表された。これによりPagerDutyユーザーは、多様なデータソースからのインシデントについて、トリアージと解決速度を向上できるようになる。
PagerDutyでは、Amazon BedrockとAIアシスタント「Claude」を基盤とし、Amazon Qに統合されたPagerDuty Advanceのユーザー体験により、インシデント対応時間の短縮と開発作業への注力時間の増加が期待できるとした。また旅行グループ会社であるTUIは、AWSを基盤とするPagerDuty Operations Cloudが、潜在的な問題の監視と迅速な対応に重要な役割を果たし、インシデントの復旧時間を30%短縮したとしている。
AWSは、Amazon Q indexをはじめとするAWSの高度なAI機能とPagerDutyの連携により、ユーザーの障害復旧強化へのニーズに応えられるようになったとした。