十分に長い時間を要したが、Microsoftがようやく「Windows Subsystem for Linux」(WSL)のコードをオープンソース化した。開発者会議「Build 2025」で発表されたこの動きは、9年近く前から寄せられていた開発者コミュニティの要望に応えるものだ。また、Microsoftとオープンソースコントリビューターたちとの協力が新時代を迎える前兆でもある。
今回の新たなリリースに伴い、Microsoftは「MIT License」の下で、「GitHub」にWSLのコードベースの大部分(ただし、すべてではない)を公開した。今回公開されたコードの中には、「wsl.exe」「wslg.exe」「wslconfig.exe」のようなWSLのコマンドラインツールが含まれている。Microsoftは、仮想マシンの管理や「Linux」ディストリビューションの起動、ネットワーキング、ファイル共有を実行するWSLのサービス(「wslservice.exe」)もオープンソース化した。また、ネットワーキングやポート転送などの中核機能を処理するLinuxサイドのデーモンプロセスとinitプロセスも公開した。この最新の動きに先立ち、Microsoftはすでに「X Server」と「Wayland」向けのグラフィックドライバーとLinuxのカーネルコードをオープンソース化していた。
オープンソース化されないままのコンポーネントもいくつかある。「WSL1」を動かすNTカーネル側ドライバーで今はもう使われていない「lxcore.sys」や、「Windows」とLinux間のファイルシステムリダイレクションを可能にするドライバーなどだ。
MicrosoftによるWSLコードのオープンソース化は、人々から何年も要望されていたことだった。2016年にGitHubのWSLリポジトリーに投稿された最初のイシューは、「これは将来オープンソース化されるのか?」だった。このイシューは、Microsoftの次のようなコメントとともにクローズされた。「コミュニティがなければ、WSLは今ある形になり得なかった。WSLのソースコードにアクセスできない状況下でも、人々はこれまで、WSLの今につながる大きな貢献を続けてきた」
MicrosoftのWindows担当コーポレートバイスプレジデントであるPavan Davuluri氏によると、今回の措置に長い時間がかかったのは、Windowsの主要なコードベースからWSLを分離するための構造上の大々的な変更のためだという。
現在、「Fedora」「Debian」「openSUSE」「Ubuntu」など、人気が高い10種類以上のLinuxディストリビューションがWSLで利用可能だ。「WSL2」では、「Arch Linux」「Kali Linux」など、人気はあるものの知名度でやや劣るディストリビューションも実行できる。また、十分な容量のRAMと十分に高速なプロセッサーがあれば、複数のLinuxディストリビューションを同時に動かしながら、「Windows 10」または「Windows 11」を利用することも可能だ。

提供:HJBC/Getty Images
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。