日立システムズ、宇都宮市、KPMGコンサルティングは、AIを活用した共同研究により、人口減少と高齢化が進む宇都宮市について、持続可能な未来に向けた政策シミュレーションを実施した。この共同研究では、同市の「第6次宇都宮市総合計画後期基本計画」などから抽出した358の指標と過去10年間のデータに基づき、AIが約2万通りのシミュレーションを行い、2050年における宇都宮市の7つのシナリオを導き出した。5月22日、3者共同で発表した。

「第6次宇都宮市総合計画後期基本計画」などから抽出した358の指標

AIが導き出した2050年における宇都宮市の7種類のシナリオと分岐点
3者によると、7つのシナリオの中で、指標の状況が最も改善するシナリオの実現には、2050年までに4回の重要なターニングポイントが存在するという。具体的には2030年、2031年、2043年、2044年がその転換期にあたり、これらの時期までに注力すべき政策の方向性も示唆された。
この共同研究は、ネットワーク型コンパクトシティを土台としたまちづくりが、将来の宇都宮市にどのような影響を与えるのか、そして目指すべき未来を実現するために、いつ、どのような取り組みに力を入れるべきかという2つのテーマを中心に進められた。
宇都宮市はこの共同研究の結果を、証拠に基づく政策立案(EBPM)推進の材料として活用していく方針だ。一方、KPMGコンサルティングと日立システムズは、自治体におけるEBPMの推進をサポートし、地域活性化に貢献していく。政策の企画をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化した上で合理的根拠に基づくものとすること。
各社の役割は、宇都宮市がシミュレーションの目的決定、指標選定、未来シナリオの考察を担い、KPMGコンサルティングがコンサルテーション、統計処理、ワークショップの進行、係数設定、未来像の検討を行った。そして、日立システムズは、日立製作所が開発したAIを用いて統計処理とデータ整形を実施し、KPMGコンサルティングと連携して係数設定やAIシミュレーションを実行した。