調査

現場ユーザーのセキュリティ当事者意識の低さが浮き彫りに--ガートナー調査

寺島菜央 (編集部)

2025-05-22 13:19

 ガートナージャパンは5月22日、国内企業の情報漏えい対策に関する最新の調査結果を発表した。同調査は、2025年2月に国内のセキュリティリーダーを対象に行った。

 これによると、「AI/生成AI/AIエージェントの活用でこれまで以上に情報漏えいが発生することが不安である」という問いに、56.6%が「非常に該当する」「ある程度、該当する」と回答しており、過半数以上の回答者が、これまで以上に情報漏えいが発生することに不安を感じていることが明らかになった。

国内企業の現状:情報漏洩への不安(出典:Gartner 2025年5月)
国内企業の現状:情報漏洩への不安(出典:Gartner 2025年5月)

 シニア ディレクター アナリストの矢野薫氏は、「情報漏えいを不安に思う企業が半数を超える状況である一方、そうした不安が社内の一部の人に限られており、社内で広く共有されていない場合も多く見られる」と指摘。情報漏えいのリスクは、ユーザーの多様化や流動化も要因の一つであり、出向者や退職者による情報漏えいが顕在化しているという。

 また同氏は、「AIや生成AI、AIエージェントの活用に当たっては、データ/アナリティクスリーダーには、セキュリティリーダーやビジネス部門のユーザー、経営陣と共に各立場から見た情報漏えいに対する危機感を共有し、議論できる場所を率先してつくるようなリーダーシップが求められている」と説明する。

 ほかにも、この調査ではビジネス部門のユーザーである従業員のセキュリティ当事者意識についても尋ねている。その結果、従業員は情報漏えい対策の役割の責任はセキュリティ部門にあるとし、自分自身のセキュリティの役割と責任を自覚していないと考える回答者が63.3%にも上ることが明らかになった。

国内企業の情報漏洩対策に対する課題感(出典:Gartner 2025年5月)
国内企業の情報漏洩対策に対する課題感(出典:Gartner 2025年5月)

 従業員のセキュリティ意識は、eラーニングのようなオンライン教育が主要となっているが、そうした活動だけですぐに意識向上を達成するのは難しい。矢野氏は、重要情報の識別や情報の共有範囲の制限は全てを機械的にできるものではないとした上で、「ビジネスの現場にいるユーザーがその都度判断することが今後さらに多くなると考えられる。そうした活動を日常の業務内で支援するためにも、データ活用推進のアンバサダーがセキュリティ推進を兼務するなど、データの活用と保護の意識がビジネス現場で同時に醸成できるようにする工夫が必要だ」とした。

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