NTTコムウェア、長崎大学、溝田設計事務所、長崎県建設技術研究センターの4者は5月22日、橋の維持管理における診断業務の高度化を目指し連携を開始した。診断業務効率化や技術継承を実現する橋の診断支援AIの実証を実施する。

実証実験での評価イメージ
実証期間は4~5月。長崎県内にある13の橋を対象に、技術者の業務負担軽減・修繕コスト最適化・技術継承の観点から、生成AIの業務適用効果における測定と評価をする。
実証では、点検結果のデータ(損傷種別、損傷程度、橋の諸元など)や参照データ(国土交通省や自治体の点検要領、診断ノウハウ)を基に、NTTドコモのAIエージェントで作成した診断案(橋梁の健全性や所見など)を使い、診断業務の効率化、作業時間削減効果、診断適正化による修繕コストの最適化効果、診断技術・ノウハウの継承効果を評価したとのこと。
実証の結果、1橋当たりの診断にかかる時間を約57%削減できたほか、従来の調書と比較し、診断結果のばらつきが抑制され、修繕コスト最適化につながる示唆が得られたという。加えて、診断に関わるノウハウの継承や技術者育成の観点で活用可能という評価が得られた。
NTTコムウェアがインフラメンテナンス最適化の知見を生かした実証実験の企画・実行を手掛け、長崎大学が橋メンテナンスの知見や診断ノウハウを基にした実証実験を監修。溝田設計事務所は橋におけるメンテナンスの知見および診断ノウハウを提供したとのこと。長崎県建設技術研究センターは実証成果を評価した。
今後は、診断業務に加え、修繕計画の策定支援や劣化予測AIなどによる予防保全といった、点検・診断・措置・記録のメンテナンスサイクル全体で蓄積したデータの分析・活用を進め、ライフサイクルコストのさらなる最適化を目指すとしている。

AIエージェントの適用イメージ