日本航空(JAL)は、社内業務効率化のため、独自の生成AIツール「JAL-AI」を開発した。開発を支援したアバナードが5月26日に発表した。
JALは2023年4月から生成AIの活用を検討していたが、検索拡張生成(RAG)の精度向上に課題が生じ、プロジェクトを見直すことになった。そこで、生成AIの導入・活用実績を持つアバナードが新たなパートナーとなり、2024年1月からプロジェクトが再始動した。
アバナードは、「社内ナレッジの検索・活用」「他システム連携」「議事録の自動生成」「整備部門向け文書検索・活用」をテーマにJALを支援した。JAL-AIはオフィスワーク担当者だけでなく、現場スタッフを含むJALグループ全従業員が利用できるようになった。
JAL-AIは、議事録作成やファイル高度検索機能などがアップデートされている。AIの回答精度向上のため、多様な社内ドキュメントを取り込み、RAGの導入に加え、PDCAサイクルによる評価・改善が実施された。その結果、2024年度には間接部門のほぼ全ての社員が利用するまでに普及した。
さらにJALは、JAL-AIをベースに空港業務特化型の「空港JAL-AI」もリリースしている。これは、グランドスタッフが顧客からの問い合わせ対応をiPadでサポートするツールであり、危険物検索、イレギュラーアナウンス文章生成、ラウンジ入場条件検索などのアプリで活用されている。実証実験では、これらの機能に対し、グランドスタッフの9割以上が回答や作成速度の向上を実感している。また、「ラウンジ入場条件検索」については、ラウンジスタッフの70%以上が回答速度の向上を評価している。
JALは、アバナードの迅速な対応やビジネス意図の理解を評価している。今後は、1つのインターフェースとマルチデバイスで、多岐にわたる業務に利用できるAIの実現を目指す方針だ。アバナードは今後も、業務システム連携や社内ポータル情報のクローリングを支援していく。