セールスフォース・ジャパンは5月26日、新たなエージェント型分析基盤「Tableau Next」の日本語での提供を6月15日に開始すると発表した。
Tableau Nextは、「Hyperforce」基盤上に構築されたソリューションになる。AIエージェント基盤「Agentforce」と、インテリジェントなセマンティックレイヤー「Tableauセマンティック」の2つを中核技術として設計されている。
また、データ基盤「Data Cloud」と連携することで、統一されたビジネス定義に基づく信頼性の高いデータ分析が可能になる。自然言語によるクエリー実行、異常検知、アクション提案を行うAIエージェントも標準で搭載する。Salesforceのワークフローとデータビジュアライゼーションを組み合わせることで、洞察の獲得からアクションの実行まで対応する。

セールスフォース・ジャパンの福島隆文氏
セールスフォース・ジャパン 常務執行役員 Tableau事業統括本部 統括本部長の福島隆文氏は会見で、「データと分析の必要性はかつてないほど高まっている」と強調。特に、生成AIのような大きな変化は、データ活用の世界において、より実用的な洞察を求める傾向を強めているという。
その一例として、福島氏は「対話によるデータ分析」を挙げる。これにより、高度なSQLや専門知識がなくとも、日常的な言葉でデータを扱うことが可能になる。こうした状況では、「データの信頼性が極めて重要となる」といい、データと人間をつなぐ「セマンティックレイヤー」と呼ばれる中間層が不可欠になる。これにより、データが能動的に監視され、人々にどのような情報を提供しているかが重視されるという。
さらに、昨今注目が集まっているエージェント型AIが、この傾向を加速させると福島氏は指摘する。Tableau Nextは「世界初のエージェント型分析プラットフォーム」(同氏)で、Tableauが培ってきたあらゆるデータと対話できる機能に加え、Data Cloudに統合されたデータとエージェントが対話することで、データ分析から実際のアクションまでを支援する。
Tableau Nextは、まず「オープンなデータレイヤー」が特徴となる。顧客が保有するあらゆるデータを統合・整理でき、「Snowflake」や「Databricks」といった外部のデータレイクハウスともデータゼロコピーで連携可能となっている。

Tableau Nextはオープンなデータレイヤーが特徴の1つ
「セマンティックレイヤー」は、データにビジネスコンテキストと意味を付与し、ビジネス用語でデータにアクセスできるようにする。さらにこのレイヤーにおいて信頼性の高いデータに基づいたビジネスメトリクスが一元的に管理される。これにより、一貫性のある信頼性の高い洞察や、AIがデータを正確に解釈するための基盤を提供する。
Tableau Nextの「ビジュアライゼーション」は、直感的かつ表現力豊かにデータを可視化する機能である。これは単にデータを見るだけでなく、会話型分析やドラッグ&ドロップ操作を通じて洞察の発見を促進する。メトリクスを含むダッシュボードへの自由な配置が可能であり、発見された洞察を業務ワークフロー内で直接的なアクションにつなげることを強く意識して設計されている。
また、Agentforceとの統合も大きな特徴。自然言語でのやりとりを通じて、ユーザーの問いに対し洞察を導き出す「Concierge(信頼できるQ&A)」、リアルタイムにデータを監視し、異常値やトレンドの変化を検知する「Inspector (プロアクティブな洞察)」、データの収集・整備・可視化を一手に担う「Data Pro(データ準備・モデリング支援)」といった分析スキルが組み込まれ、ユーザーを支援する。なお、6月の提供段階での日本語対応は未定となっている。

Tableau Nextのサービス構成
組織内で蓄積されたダッシュボードやデータソース、重要業績指標(KPI)テンプレートなどの分析資産を一元管理・共有できる仕組みとして社内マーケットプレイスの仕組みもある。
Tableau Nextの日本市場での定着を支援するため、組織におけるデータドリブンな文化の醸成を支援する実践的なガイドラインとして、「Tableau Blueprint」をエージェント型分析時代に対応したフレームワークへと刷新した。加えて、世界中のTableauユーザーがつながり、学び合うグローバルなコミュニティーとして「Tableau Community Slackワークスペース」に日本語チャンネルが開設された。

Tableauの製品ポートフォリオ