NECは5月28日、メールセキュリティ「Mission Critical Mail」の新版を販売開始した。送受信メールを「Box」に自動アーカイブする機能や、送信者の正当性を証明する「Authenticated Received Chain(ARC)」への対応などが図られている。
Mission Critical Mailは、オンプレミス用のソフトウェアパッケージ製品「Mission Critical Mail Filter」とクラウドサービス「Mission Critical Mail Cloud」がある。企業・団体ごとのセキュリティポリシーや運用環境に応じた柔軟な導入が可能となっている。細かなセキュリティ要件に対応できる高いカスタマイズ性も特徴という。
これまで、セキュリティ上の懸念があったPPAP(暗号化したパスワード付きZIPファイルをメールに添付し、解凍用パスワードを別のメールで送信するファイル送付手法)に代わる手法として、メールの添付ファイルをBoxへ自動格納することで、安全かつ効率的なファイルの共有・保管を実現してきた。

Mission Critical Mailの強化概要(提供:NEC)
今回の強化では、新たに送受信されるメール自体(本文、ヘッダー)もBoxへ自動でアーカイブできる機能を追加した。これにより、Boxのセキュリティポリシーのもとで、日常業務のドキュメントとともに重要なメールデータもBoxの検索機能やアクセス管理機能を活用しながら一元的に保管・管理が可能となる。万一の問い合わせやインシデント発生時には、必要な情報への迅速なアクセスが可能になる。
また、既にBoxを利用している企業であれば、別途メールのアーカイブ専用サービスを追加導入することなく、Boxの活用領域を広げることで対応できるため、企業にとってのコスト低減と運用管理の効率化につながる。
クラウドストレージ連携による脱PPAPなどのセキュリティ対策に伴い、送信メールのメッセージやヘッダーを編集する場合、SPF/DKIM/DMARCといったドメイン認証が失敗し、正当なメールであっても迷惑メールと判定されるリスクがあった。
この課題を解消するため、送信経路上で認証結果を引き継ぎ、送信者の正当性を証明できるARCに新たに対応した。ARCは、重要なメールの到達率と信頼性を大きく向上させる規格として、国内外の業界団体による推奨ガイドラインに組み込まれている。「Gmail」や「Microsoft 365(Exchange Online)」をはじめとする主要プラットフォームでも、既に導入・活用が進んでいるとのこと。
近年、企業や団体においてデジタル変革(DX)が進展し、テレワークやクラウド利用が拡大している。これにより、メールを介した社内外との情報連携が活発化しており、メール情報の可視化やセキュリティ強化が改めて注目されている。従業員が多様な環境下でメールを利用する際には、メール内容の可視化やアーカイブによる長期間の保存・管理に対するニーズが高まる一方で、これに対応する専用サービスを導入するためのコストや運用管理工数の負担が課題となっている。