Googleが先週の「Google I/O」で発表した内容は、予想どおり人工知能(AI)に関するものが大半だった。過去のGoogle I/OでもAIが大きく取り上げられてきたが、2025年の発表がこれまでと異なるのは、AI機能がGoogleのほぼ全ての製品に搭載され、日常的に行われるほぼ全てのタスクに関連していることだ。
筆者はAIについて楽観的で、AI担当の編集者としてツールのテストに携わっているため、以前からAIを進んで取り入れて日常業務を最適化してきた。しかし、Googleの基調講演では、AIにあまり前向きでない人も、まもなくAIを避けて通れなくなることが明確に示された。
さらに、Googleの発表は業界の未来に光を当て、AIの今後の方向性を示す3つの主要なトレンドを浮き彫りにしている。本記事では、それらのトレンドについて解説する。
1. AIは至る所に

提供:Kerry Wan/ZDNET
AIが初めて注目を集めたとき、多くの企業がAIチャットボットや画像生成ツールなど、最高のAIツールを開発しようと競い合った。これらのAIツールが高性能化し、一般的になった今、AI開発は次の段階に入っている。現在の目標は、これらのツールを日常的なプロセス、アプリケーション、サービスに取り入れることだ。理想的には、新しいツールを別途開発しなくても、人々の既存のワークフローに自然に組み込めるのが望ましい。
その最たる例が、Google I/Oでの発表内容だ。まもなくユーザーは、オンラインショッピング、メール受信トレイの管理、ビデオ会議、ウェブ検索、コーディングなど、デジタルライフのほぼ全てのタスクにAIを統合するオプションを利用できるようになるという。現時点では、どれもオプトイン形式の体験であり、ユーザーが選択できる状態だが、AIを使用するオプションが提示されることは、まもなく避けられなくなるだろう。
コンテキストスイッチを最小限に抑えつつワークフローを簡単に最適化したい人にとっては、好ましい変化になりそうだが、AIを使いたくない人にとっては、良くない変化かもしれない。いずれにせよ、AIを避けて通ることがますます困難になっているのは事実だ。
2. ユーザーデータの需要がかつてないほど拡大

提供:Sabrina Ortiz/ZDNET
有能な人間の同僚と同じように、AIシステムはユーザーとその習慣について学べば学ぶほど、ユーザーがしてほしい作業を予測するか、対話の際にその情報をコンテキストとして利用することで、より的確にニーズに応えられるようになる。AIが人間と異なるのは、ユーザーが自分について説明する必要がないことだ。AIにデータを渡せば、関連する文脈として利用できるようになる。これにより、ユーザーの情報を土台にしたAIとなるため、同じ説明の繰り返しや指示の回数を減らせる。
例えば、Googleが発表した機能では、「AI Mode」に過去の検索や他のGoogleアプリ(まずは「Gmail」から)のコンテキストを渡すことで、より個人に合わせたコンテキストを提供できるようになる。同様に、「Gmailの新しいパーソナライズされたSmart Replies」機能は、過去のメールのやりとりや「Googleドライブ」を参考にしながらメールの下書きを作成できる。
これらの統合により、AIアシスタントが改善される一方で、より高度な統合の原動力として、自分のデータをさらに差し出すことになる。AIアプリケーションが本格的なアシスタントへと進化していく中で、これらのモデルを最大限に活用するには、自分のデータをAIモデルやその提供元の企業と共有することに慣れなければならない。