筆者は「Linux」を長年使用しており、Linux向けに開発されたデスクトップ環境はほぼすべて試してきた。それらのデスクトップ環境の中には、高度なカスタマイズ性を提供するものもあれば、機能が少なく、カスタマイズ性が低いものもある。
ユーザーによっては、柔軟性の高さが弊害となる場合もある。例えば、「Xfce」を初めて使用するユーザーがパネルを誤って削除してしまい、再び追加しなければならなくなった、という状況を想像してみてほしい。そのようなことは十分にあり得る。
それ以外のユーザーにとっては、柔軟性には2つの利点がある。完璧なデスクトップ環境を作れることと楽しい体験を享受できることだ。筆者のようなユーザーにとって、それら2つの利点は相反するものではない。
それでは、数あるデスクトップ環境の中で、もっともカスタマイズ性に優れているのは、どれなのだろうか。本記事では、その候補を5つ紹介する。どれも、筆者が実際に使い込み、優れた選択肢だと考えているものだ。
筆者が厳選した5つのデスクトップ環境を見ていこう。
1. 「KDE Plasma」
KDE Plasmaは昔からずっとカスタマイズ性に優れており、新しいリリースが出るたびに、カスタマイズ機能の完成度が上がっている。本記事で紹介するカスタマイズ性に優れたデスクトップ環境の中でもっとも美しいのは、現時点ではKDE Plasmaだろう。
KDE Plasmaでは、環境のテーマ変更、ダークモードとライトモードの切り替え、カスタマイズされた壁紙の設定(デスクトップとロック画面の両方に設定可能)、パネルの追加/削除/配置、デスクトップへのウィジェット追加、ウィンドウマネージャー(タイル型を含む)のカスタマイズ、さまざまな視覚効果の有効化、仮想デスクトップとアクティビティーの管理、アプリスタイル、ブートスプラッシュなど、多種多様なカスタマイズが可能だ。
カスタマイズできる項目はもうないだろうと思った瞬間に、別のカスタマイズ項目が見つかる。このデスクトップのカスタマイズにどれだけ時間をかけても、変更の余地がなくなることはない。とはいえ、デスクトップのカスタマイズが絶対に必要なわけではない。デフォルトの状態でも十分に魅力的だからだ。しかし、デスクトップを自分好みにカスタマイズして、より洗練されたものにしたい人にとって、KDE Plasmaは最適な選択肢だ。

提供:Screenshot by Jack Wallen/ZDNET
2. 「Enlightenment」
Enlightenmentは昔ながらのLinuxなので、すべてのユーザーに適しているわけではない。デスクトップに対するEnlightenmentのアプローチは、他と大きく異なる。静的なデスクトップメニューは存在せず、ユーザーがデスクトップ上の任意の場所でマウスを左クリックすると、メニューが表示される。筆者は昔からずっとこの機能を気に入っている。どこからでもメニューに素早くアクセスできるからだ(マウスを画面の左下にドラッグする必要はない)。
ウィンドウシェーディングもお気に入りの機能だ。ウィンドウのタイトルバーをダブルクリックすると、ウィンドウが上に巻き取られ、タイトルバーだけが表示される。そのタイトルバーをもう一度ダブルクリックすると、ウィンドウが再び表示される。
Enlightenmentも素晴らしい柔軟性を備えている。テーマとカラーパレットの変更、フォントとアイコンのカスタマイズ、シェルフ(パネル)の追加/削除/位置変更/カスタマイズ、シェルフとデスクトップへのガジェット追加、ウィンドウのスナップとフォーカスモード、エフェクトの有効化など、他にも多くの機能がある。
Enlightenmentを選出した理由はほかにもある。それは、上級ユーザーが~/.config/enlightenmentにあるデスクトップ設定ファイルを好きなだけ開いて、非常に細かいカスタマイズを施せることだ。

提供:Screenshot by Jack Wallen/ZDNET
3. 「Xfce」
Xfceは、市場でもっとも優れた軽量Linuxデスクトップの1つとみなされることが多い。しかし、筆者がXfceに魅力を感じる理由は、軽量性だけではない。筆者がもっとも重視するのはカスタマイズ性だ。そして、Xfceには豊富なカスタマイズ機能が備わっている。
Xfceでは、ほぼどんなカスタマイズでも可能だ。好みの外観に仕上げた後も、「他にアイデアはないのか」とXfceに挑発されているように感じる。カスタマイズできるのは、テーマ、アイコン、フォント、壁紙、パネル、パネルの外観、アプレット/プラグイン、「Whisker」メニュー、ウィンドウの装飾、ワークスペースの設定などだ。gtk.cssファイルを編集して、パネルやメニューなどのUI要素をさらに細かく変更できる。Xfceは、「Conky」などのサードパーティー製アプリとも連携する。

提供:Screenshot by Jack Wallen/ZDNET