松岡功の「今週の明言」

セールスフォースに買収されて5年余りの「タブロー」へのユーザー“愛”は健在か

松岡功

2025-05-30 10:40

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、セールスフォース・ジャパン 常務執行役員 Tableau事業統括本部 統括本部長の福島隆文氏と、Lenovo バイスプレジデント ワールドワイドISG ストレージセールス担当のDavid Mooney氏の「明言」を紹介する。

「Tableau製品は非常に多くのお客さまに愛され続けていることが最大の強みだ」
(セールスフォース・ジャパン 常務執行役員 Tableau事業統括本部 統括本部長の福島隆文氏)

セールスフォース・ジャパン 常務執行役員 Tableau事業統括本部 統括本部長の福島隆文氏
セールスフォース・ジャパン 常務執行役員 Tableau事業統括本部 統括本部長の福島隆文氏

 米Salesforceの日本法人セールスフォース・ジャパンの福島氏は、同社が先頃開いたデータ分析ソフトウェア「Tableau」の新製品に関する記者説明会で、Tableau製品の強みについて上記のように述べた。新製品はエージェントAI機能を活用できるようにしたのが最大の特徴だが、この分野はこれから最も激戦市場になる可能性が高い。それを踏まえて「勝算はあるか」と聞いた筆者の質問に答えたものだ。堂々とこう言えるのは素晴らしいことだと感じたので、明言として取り上げた。

 新製品の名称は「Tableau Next」。「世界初のエージェント型アナリティクスプラットフォーム」と銘打ち、日本語版を6月15日に提供開始する。Salesforceが注力しているAIエージェントプラットフォーム「Agentforce」との連携については図1に示すように、「Data Cloud」との間でSalesforceソリューション全体のデータ分析を担う形になる。

(図1)AgentforceとTableauの連携(出典:セールスフォース・ジャパンの会見資料
(図1)AgentforceとTableauの連携(出典:セールスフォース・ジャパンの会見資料)

 新製品における会見での説明内容は関連記事をご覧いただくとして、ここでは福島氏の明言に注目したい。

 データ分析ソフトウェアといえば、以前はデータ分析を行うエキスパートだけが使うツールだったが、その後、幅広い分野で誰でも使えるツールとして「ビジネスインテリジェンス(BI)」ソフトウェアが広がった。Tableau製品はその象徴的なツールの一つで、その中でもフレキシブルで使いやすいと評価した熱心なユーザーが、積極的なコミュニティー活動を行ってきたというのが筆者の印象だ。

 それもあって、今回の会見で、AIエージェントとの連携もさることながら、そうしたユーザーコミュニティーの話が出るかどうかに注目していた。すると、福島氏は新製品に関する説明の最後に図2を示しながら、次のように述べた。

(図2)Tableau製品のユーザーコミュニティー(出典:セールスフォース・ジャパンの会見資料)
(図2)Tableau製品のユーザーコミュニティー(出典:セールスフォース・ジャパンの会見資料)

 「Tableauは製品力とともに、多くのお客さまによって使いこなされてきたさまざまなノウハウをもっと広めていこうというユーザーコミュニティーの活発な動きが特徴だ。コミュニティーはもはや自走する形で活動しており、『データ活用をもっと推進しよう』との確固たる意志が根付いている。私たちとしては、そうした活動を引き続きしっかりと支援していきたい」

 この話が出たこともあって、筆者は質疑応答で「AIエージェントを活用したデータ分析ツールの市場はこれまでにも増して競争が激しくなりそうだが、勝算はあるか」と聞いてみた。すると、福島氏は次のように答えた。

 「Tableau製品は非常に多くのお客さまに愛され続けていることが最大の強みだ。先ほどお話ししたコミュニティーもさらに活発化している。今回のTableau Nextについても強いご期待をいただいている。こうした熱意こそが最大の勝算だ」

 冒頭の明言は、この発言から抜粋したものである。

 SalesforceがTableauを買収して5年余り。当初は、市場もさることながらTableauユーザーにも大きな衝撃が走ったが、ユーザーコミュニティーの活況ぶりは今も健在のようだ。引き続き、ユーザーの声を大事にしながらの進化に注目していきたい。

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