海外コメンタリー

アップルによるOS命名規則の刷新--巧妙な戦略か、単なる見せかけか

Prakhar Khanna (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2025-05-30 09:59

 Appleは、OSの命名方式を変更する計画を立てていると報じられている。新しいOSは世代番号ではなく年号で識別されることになるという。これは、「iPad」や「Mac」を含む全ての同社デバイスに対するソフトウェアの全面的な見直しの一環であると言われている。しかし、この取り組みは、長年のAppleユーザーにとって混乱を招く可能性がある。

 Bloombergの記事によると、「現在の『iOS 18』は『iOS 26』に置き換えられる。(中略)他のアップデートは『iPadOS 26』『macOS 26』『watchOS 26』『tvOS 26』『visionOS 26』になる」という。BloombergのMark Gurman氏は、Appleがこの変更を進める背景には、ブランドの一貫性を持たせ、「顧客や開発者にとって混乱を招くアプローチから脱却する」ことを挙げている。

 現在、AppleのOSは、「iOS 18」「macOS 15」「watchOS 12」「visionOS 2」のように、ソフトウェアが最初にリリースされた時期に応じて異なるバージョン番号が付けられている。新しい命名方式は、全てのバージョンが年号で統一されることで、より明確な命名方式となる可能性がある。サムスンは、2019年にリリースされた「Galaxy S10」が2020年に「Galaxy S20」に引き継がれたように、「Galaxy S」シリーズで同様のアプローチを採用している。

 しかし、Appleのアプローチは完全に同じというわけではない。OSをリリース年で命名するのではなく、翌年の年号で命名する。従って、2025年にはiOS 26、macOS 26、watchOS 26、visionOS 26が登場すると予想される。これは、自動車会社のマーケティング方法と似ている。

 このアプローチは、長年のAppleユーザーにとって混乱を招く可能性がある。バージョン番号からリリース年に変更した方が、「Galaxy S24」(2024年)や「Galaxy S25」(2025年)のように理解しやすいだろう。

 だが、同社のアプローチは、製品を年号で命名する過去の方針と一致している。Gurman氏が指摘したように、同社は2007年8月に「iWork '08」と「iLife '08」をリリースし、2010年10月に「iLife '11」をリリースしている。

 OSの名称を統一する方針は、Appleのデバイスで予定されているビジュアル刷新と一致する。これまでの報道では、開発者会議「Worldwide Developers Conference(WWDC)2025」において、コードネーム「Solarium」と呼ばれる新たなデザインが発表される可能性が示唆されている。Bloombergによると、この変更は「新しいデザイン言語や美的調整をはるかに超える」ものだという。

 一貫したナビゲーションやルック&フィール、メニューの標準化は、Appleのエコシステムを強化する可能性を秘めている。これにより、Appleのハードウェアプラットフォーム全体での操作がより簡単かつ負担の少ないものとなるだろう。例えば、「共有」や「設定」といったアイコンをタップする際の効果や動作は、ほぼ同じになると考えられる。

 Appleがこの命名規則を将来のハードウェアにも採用することを望む。例えば、「iPad Air 2026」や「iPad Pro 2026」といったモデル名は、一般消費者にとってどの製品が最新であるか分かりやすくなるだろう。

 同様に、「MacBook Air 2026」や「MacBook Pro 2026」といったモデル名であれば、「MacBook Air M4」や「MacBook Pro M4」よりも一貫性があって理解しやすくなるだろう。Appleは現在、最新のMacBookを単に「MacBook Air」や「MacBook Pro」として販売しているが、前世代モデルもまだ流通しているため、消費者は最新世代を見つけるためにプロセッサーなどの仕様を確認する必要がある。年号に基づいた命名規則は、この点においてより有効であると考えられる。

提供:Prakhar Khanna/ZDNET
提供:Prakhar Khanna/ZDNET

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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