筆者は新しい「Linux」ディストリビューションをほぼ全て把握しているが、どういうわけか「FunOS」を見落としていた。この軽量ディストリビューションは、以下の3つの点を念頭に置いて開発された。
- 安定性
- パフォーマンス
- セキュリティ
それらはどのように実現されているのだろうか。まず、FunOSは「Ubuntu」の長期サポート(LTS)版をベースとしているため、最も広く使用されているLinuxディストリビューションの1つであるUbuntuの安定性を享受できる。
次に、FunOSは軽量で使いやすい「Joe's Window Manager(JWM)」を使用して、高いパフォーマンスを実現している。
最後に、FunOSは、ミニマリスト的なLinuxディストリビューションを志向することで、強固なセキュリティを確保した。具体的には、必要不可欠なコンポーネントとサービス、最新の「Hardware Enablement」(HWE)カーネルのみを搭載している。
アイドル時のRAM使用量はたったの約250MBである。インストーラーのサイズは1.8GBだ。このディストリビューションの実力を確認するため、筆者はFunOSを仮想マシンとして起動してみた。FunOSに乗り換えようとまでは思わなかったものの、古いハードウェアに新たな命を吹き込むLinuxディストリビューションのリストに、素晴らしい選択肢が加わったと感じた。
本記事では、FunOSを使用した体験を詳しくお伝えしたい。
筆者の体験
インストールはほかのどのLinuxディストリビューションにも負けないくらい簡単だった。FunOSはサイズが小さいので、5分も経たないうちに、初めてのログイン画面が表示された。
ログイン後に現れたデスクトップは、まさに軽量OSに期待されるものだった。レイアウトは標準的(パネルとスタートメニュー、システムトレイ)で、従来のデスクトップ環境を使ったことがある人なら、すぐに使いこなせるだろう。このデスクトップは、「Cinnamon」「Mate」「Xfce」といった余計な飾り気のないディストリビューションを思い出させる。
FunOSの使用体験は、Vivaldiの音楽が街に響き渡る中、黒いビクトリア調のドレスをまとって、乳母車を押しながら公園を散歩するような体験ではない。次のピックルボールの試合の前に、HOKAのシューズを履いて、カフェラテを飲みながら街を歩くような感覚に近い。確かに、FunOSは退屈だが、効果的かつ効率的にタスクを処理してくれる。デスクトップは高速かつシンプルで、簡素だ。
簡素という言葉を使った理由について、少し説明したい。
Linuxディストリビューションをインストールした後、筆者が最初にやることの1つは、デスクトップメニューを開いて、何がインストールされているのか確認することだ。FunOSでは、何かが欠けていることにすぐ気づいた。パッケージマネージャーのGUIフロントエンドがないのだ。アプリストアが存在しない。「Windows 10」マシンを使い続けたいが、Linuxには触れたことがないというユーザーにとっては、このことが問題になるかもしれない。現在のところ、FunOSではコマンドラインを使う必要がある。最小限のソフトウェアしかプリインストールされていないため、この問題を避けて通ることはできない。
筆者はターミナルウィンドウを開いて、以下のコマンドを実行した。
sudo apt-get update sudo apt-get install synaptic -y
「Synaptic」は筆者のお気に入りのパッケージマネージャーではないが、ほぼ全ての標準リポジトリーからインストール可能で、効果的だ。Synapticをインストールした後、スタートメニューボタンをクリックして「Reload Menu」(メニューの再読み込み)を選択すると、Synapticの項目が追加される。その後、スタートメニュー>「Settings」(設定)>Synapticの順にクリックすると、必要なアプリケーションをインストールできる。

提供:Jack Wallen/ZDNET