島型にデスクが並べられ、天井には四角いベースライトが取り付けられたオフィスが、快適性と省エネ性を兼ね備えたこれからのオフィスに変わろうとしている。

従来のオフィスからABWオフィスへ
パナソニック エレクトリックワークス社は、4月にオフィス向けスポットライト照明器具の「TOLSO+(トルソープラス) 」を発売。スポットライト照明の新たな形として打ち出す。
スポットライト照明は、対象物をピンポイントで照らし、より魅力的に見せる照明として舞台・ホールや博物館、店舗などで使用されている。配光角度(光の広がり)が狭く、照射面の中心部ほど明るいことが特徴だ。
限られた場所への設置が一般的だったスポットライト照明だが、ここ最近、オフィスへの導入が進んでいるという。
コロナ禍によるリモートワークの浸透により、オフィスの形態は変わった。フリーアドレスを導入するオフィスも増え、働く場所で求められるウェルビーイングや健康経営に対する考え方も定着してきた。
中でも、仕事の内容や状況に合わせ、最適な場所や時間を選んで働く「ABW(アクティビティーベースドワーキング)」により、働き方に対する意識は大きく変化。「オフィス空間の快適化」がオフィスを作る上でのキーワードになっているという。
快適化を照明からサポートするTOLSO+は、必要な時に必要な明かりを提供できることが特徴。しかし、通常のスポットライト照明では、(1)照度分布の均斉度が低く、目が疲れやすい、(2)器具の電源部が大きく、デザイン性に難があった、(3)配光が狭いため1席につき1台のスポットライトが必要になり初期導入コストが重い――という3つの課題があったという。
TOLSO+では、グレア(まぶしさ)となる漏れ光を抑え、ビーム角内に光を集めることで照度を確保。明るさのムラを少なくし、均斉度を上げることで、目の疲れやすさを軽減。電源部分は大幅なサイズダウンを実現し、本体体積を従来製品に比べ25%削減。水平垂直を基調とした独自の「Archi Design(アーキデザイン)」により電源一体型で美しいデザインを実現した。加えて、広配光と高均斉度の光により、1台で2席を賄い、台数の半減に結びつけた。

従来のスポットライト照明(左)と「TOLSO+」(右)。電源部がすっきりとしたデザインになった

従来型スポットライト照明で机上を照らした時。中央部は明るいが端に行くにつれ光が届いていないことが分かる

TOLSO+で机上を照らした時。中央部と周辺部の光の差が少ない
スポットライト照明をオフィスに導入すると、机の上は明るく、机の周辺は程よく明るい「メリハリ照明」が実現するとのこと。オフィス全体の明るさが均一のベースライトに比べ、「業務に集中しやすい」「リラックスしやすい」などの効果が得られるという。
既に奈良県庁(奈良市)ではメリハリ照明を導入しており、「学生からこんな所で仕事がしたいという声が上がり、リクルーティング活動にも効果があった」「開放感があり、堅苦しくない雰囲気なので、上司との相談など風通しが良くなった」などの意見が出ている。

ベースライト中心のABWオフィスとスポットライト中心のABWオフィス

フラットな照明を採用した場合

メリハリ照明を採用した場合
机上の照度はそのままで、周辺照度を抑えることで電力使用量の削減にも寄与するとのこと。電力使用量が約1300Wだった均一照明に比べ、メリハリ照明では約900Wまで抑えられ、これにより、年間の電気代は約11万円から約7万6000円と約31%ダウンできるという。

メリハリ照明により省エネ性の向上を実現
パナソニック エレクトリックワークス社では、店舗用などのスポットライト照明に加え、オフィス用をラインアップすることで、ラインアップを強化していく。
(取材協力:パナソニック エレクトリックワークス社)