ネットワンシステムズは、大分県と16市町村が共同利用するガバメントクラウド接続ネットワーク環境を設計・構築した。利用開始後の運用保守サービスも提供する。地元システムインテグレーター(SIer)のオーイーシー(大分市)との協業により、既存の環境を生かした回線設計・構築や顧客視点に立った運用体制の整備など、包括的な価値提供が可能になったとしている。ネットワンシステムズが6月2日に発表した。
デジタル庁は、政府共通のクラウドサービス利用環境であるガバメントクラウドを活用し、地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化を推進している。全国約1800の地方公共団体は、2025年度末までに「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」に基づき、基幹業務20システムの標準化に対応し、併せてガバメントクラウドへ移行することが義務付けられている。限られた期間の中で、デジタル庁の厳しいセキュリティ要件に準拠しつつ、ガバメントクラウドへの移行と接続環境の構築が求められているため、大分県もこの対応を開始した。
ネットワークアカウントは、ITインフラをコードで構築・管理するIaC(Infrastructure as Code)を用いて、ガバメントクラウド上に16市町村分が構築された。1か月で16市町村分の構築試験を完了させ、短期間での構築を実現した。16市町村共通の設計内容であるため、導入時の工数削減や均一な品質が実現できるだけでなく、今後発生するメンテナンスなども全団体に対してタイムリーに対応することが可能となる。
また、ネットワンシステムズとオーイーシーが過去に手掛けた既存環境である「豊の国ハイパーネットワーク」や「豊の国IaaS」をガバメントクラウド接続に活用することで、機器の集約化や導入期間を短縮した。
また、大分県内自治体の基幹系システム運用保守をオーイーシーが担当しているため、ガバメントクラウド接続向けの運用サービスについても、同社に問い合わせ窓口を集約する体制を提供する。これにより、障害発生時にも基幹系システムとガバメントクラウド接続に関して個別に問い合わせる必要がなくなり、各自治体担当者の作業や調整などの業務負荷を削減できる。
ネットワンシステムズは、ガバメントクラウドの利用開始後、同クラウドのネットワーク運用管理補助者として、独自の「Managed ONEガバメントクラウド接続運用サービス」を提供する予定である。

オーイーシーと連携した「Managed ONEガバメントクラウド接続運用サービス」の体制図